ネガティブプロンプト(描いてほしくないものを書く欄)に何を書いても絵が変わらないときの原因は、CFG(プロンプトに従わせる強さ)が 1 になっていることです。
Anima Turbo のような「少ないステップで描く速いモデル」を公式のおすすめどおりに使うと、この状態になります。
この記事でできること
- ネガティブが効かない原因を CFG の値で見分ける
- Turbo で描いてほしくないものを減らす書き方を選ぶ
- ネガティブで消したいときのモデルを選ぶ
ComfyUI の中の計算をコードで確かめたうえで、Anima Turbo を使って同じシード(乱数の種)で何パターンも描き比べました。CFG を上げる方法、ComfyUI に標準で入っている NAG(Normalized Attention Guidance)ノード、通常版の Anima(Base)とも比べています。試した環境と共通のプロンプトは、末尾の「検証メモ」にまとめました。
なぜ CFG 1 だとネガティブが効かないのか
画像生成のモデルは、1ステップごとに「ポジティブに従ったときの予想」と「ネガティブに従ったときの予想」の2つを計算し、その差を CFG の倍率で広げて絵を作ります。式で書くと次のとおりです(ComfyUI の comfy/samplers.py の cfg_function)。
結果 = ネガティブの予想 + (ポジティブの予想 − ネガティブの予想) × CFG
CFG が 1 だと、ネガティブの予想が打ち消し合って「結果 = ポジティブの予想」になります。ネガティブは最終的な絵に影響しません。
さらに ComfyUI は、CFG が 1 のときはネガティブの計算そのものを省きます(sampling_function の中で、CFG が 1.0 ならネガティブ側を None にする処理。計算が約半分になるので速くなります)。つまり、CFG 1 ではネガティブ欄は読み込まれるだけで、使われていません。
検証1:CFG 1 では、ネガティブを書いても同じ画像になる
Anima の公式のおすすめに nsfw を足した「標準のネガティブ」を入れたときと、空にしたときを比べました。
nsfw, worst quality, low quality, score_1, score_2, score_3, artist name, blurry, jpeg artifacts, chromatic aberration

見た目が同じなだけでなく、画像の画素を比べても5組すべて完全に一致しました(ファイルに埋め込まれるプロンプトの文字だけが違います)。ネガティブを「bowtie, bow, neck ribbon, ribbon」(リボン)や「red」(赤)に変えても同じで、合わせて15組(3種類×5シード)すべてが一致しました。

検証2:通常版の Anima(Base)ならネガティブが効く
比べるために、CFG を使う前提の通常版 Anima Base v1.0(30 ステップ・CFG 4)で、ネガティブにリボンを入れたときと空のときを比べました。

ネガティブなしではシード 22・44・55 の3枚に首元のリボンがありましたが、ネガティブにリボンを入れると5枚とも消えました(セーラー服のスカーフは残りました。スカーフは bow ではないためと考えられます)。CFG が 1 より大きいモデルでは、ネガティブがふつうに働きます。
検証3:Turbo の CFG を 2〜3 に上げると?
Turbo のまま CFG を 2 と 3 に上げて、同じようにリボンをネガティブに入れました。CFG が 1 より大きいので、ネガティブは計算に使われます(画像も変わりました)。

| 条件 | 首元のリボン(5枚中) | 1枚の時間(平均) |
|---|---|---|
| Turbo CFG 1・ネガなし | 3枚 | 約2.0秒 |
| Turbo CFG 1・ネガ=リボン | 3枚(画像は同一) | 約1.8秒 |
| Turbo CFG 2・ネガなし → ネガ=リボン | 2枚 → 2枚 | 約2.8秒 |
| Turbo CFG 3・ネガなし → ネガ=リボン | 2枚 → 3枚 | 約2.5秒 |
| Turbo CFG 1+NAG(標準値)・ネガなし → ネガ=リボン | 3枚 → 3枚 | 約2.6秒 |
| Turbo CFG 1+NAG(強め)・ネガ=リボン | 3枚 | 約2.6秒 |
| Base CFG 4・ネガなし → ネガ=リボン | 3枚 → 0枚 | 約7.1秒 |
| Turbo CFG 1・ネガ=標準(nsfw など) | 3枚(画像は同一) | 約1.8秒 |
| Turbo CFG 1・ネガ=red | 3枚(画像は同一) | 約1.7秒 |
| Turbo CFG 3・ネガ=red | 数えていない | 約2.8秒 |
| Turbo CFG 1+NAG(標準値)・ネガ=red | 数えていない(赤いリボンや本は残った) | 約2.7秒 |
CFG を上げるとネガティブの計算が増えるので、CFG 1 より約1.2〜1.5倍かかりました。
今回のプロンプトとリボンでは、Turbo の CFG を上げてもネガティブで消すことはできませんでした。CFG 3 では絵が暗く、色が濃くなりました。Turbo はもともと CFG 1 で使う作りなので、CFG を上げると絵が変わりやすいと考えられます。
検証4:ComfyUI 標準の NAG ノードを使うと?
ComfyUI には、CFG 1 のモデルでもネガティブを使えるようにする Normalized Attention Guidance(NAGuidance)というノードが標準で入っています(「advanced → guidance」の中、ベータ版の印付き)。公式ドキュメントでは「蒸留モデルや schnell モデルでネガティブプロンプトを使えるようにする」と説明されています。カスタムノードを入れる必要はありません。

仕組みは CFG とは違い、絵の中の注意(アテンション)の計算の中で、ポジティブ側の結果をネガティブ側から遠ざけます。そのため ComfyUI は、NAG をつないだときは CFG 1 でもネガティブを計算するようになります(ノードの中で CFG 1 の省略を止める処理を確認)。設定は3つです。
| 項目 | 標準の値 | 意味(公式の説明) |
|---|---|---|
| nag_scale | 5.0 | 強さ。大きいほどネガティブから遠ざける |
| nag_alpha | 0.5 | 混ぜる割合。1.0 で完全に置き換え、0 で効果なし |
| nag_tau | 1.5 | 正規化の比率の上限 |

NAG をつなぐと画像は CFG 1 のときと少し変わりました(画素は一致しない)。しかし見た目の違いはわずかで、リボンは標準の値でも強めの値でも5枚中3枚のままでした。「red」をネガティブに入れても、赤いリボンや本は残りました。
今回の Anima Turbo とこのプロンプトでは、NAG はネガティブで物を消す役には立ちませんでした。Wan 2.2 で KJNodes の NAG を試した記事でも、プロンプトに書いた物を消すことはできませんでした。
Turbo で「描いてほしくないもの」を減らすには
- ポジティブで具体的に書く:消したい物を書かず、代わりに欲しい物を書く(例:リボンを避けたいなら襟の形や服の種類を細かく書く)。CFG 1 で効くのはポジティブだけです
- 全年齢向けにしたいときは
safeをポジティブに入れる:ネガティブの nsfw は Turbo では効きません - ネガティブがどうしても必要なら Base を使う:今回、ネガティブで消せたのは Base(CFG 4)だけでした。1枚の時間は Turbo の約4倍です
NAG はつなぐだけで使えて、時間は約1.3〜1.4倍。試す価値はありますが、今回の条件では物を消す効果は見えませんでした。
Anima の導入や Base と Turbo の使い分けは、Anima の使い方で詳しく説明しています。
ワークフローのダウンロード
今回使ったワークフローです。ComfyUI の画面にドラッグ&ドロップすると読み込めます。モデルは anima-turbo-v1.1.safetensors(models\diffusion_models)、qwen_3_06b_base.safetensors(models\text_encoders)、qwen_image_vae.safetensors(models\vae)を使います。
- kobo-anima-turbo-cfg1.jsonTurbo・CFG 1 の基本形(ネガティブ欄は残してあるが、CFG 1 では使われない)
- kobo-anima-turbo-nag.jsonTurbo+NAG(標準の値)。ネガティブはリボンの例
RTX 5090 以外の人へ
今回の時間は RTX 5090 で測ったものです。ほかの GPU では1枚あたりの時間は長くなりますが、CFG 1 でネガティブが使われない仕組みは GPU に関係なく同じです。CFG を 1 より大きくしたり NAG を使ったりすると、ネガティブの分の計算が増えるので、今回は約1.2〜1.5倍の時間がかかりました。遅い GPU ほど、この差は秒数として大きく感じるはずです。VRAM の使用量は今回は測っていません。Anima を VRAM が少ない環境で動かす目安は、Anima の使い方の簡易テストを参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q. ComfyUI でネガティブプロンプトが効かないのはなぜですか?
CFG が 1 になっていないか確認してください。CFG 1 のとき、ComfyUI はネガティブを計算に使いません。Anima Turbo など CFG 1 で使うモデルでは、ネガティブを書いても画像は変わりません(今回15組(3種類×5シード)で画素まで一致しました)。
Q. Anima Turbo でネガティブの nsfw は意味がありますか?
CFG 1 で使う限り効いていません。全年齢向けにしたいときは、ポジティブに safe タグを入れてください。
Q. CFG を上げればネガティブが効きますか?
計算には使われるようになりますが、今回の Anima Turbo では CFG 2〜3 にしてもリボンは消えず、CFG 3 では絵が暗く濃くなりました。Turbo はもともと CFG 1 で使う作りです。
Q. NAG(Normalized Attention Guidance)とは何ですか?
CFG 1 のモデルでもネガティブを使えるようにする、ComfyUI 標準のノードです。カスタムノードは不要です。今回の Anima Turbo では、画像は少し変わったものの、リボンを消す効果は見えませんでした。
Q. ネガティブをしっかり効かせたいときは?
CFG を 1 より大きくして使う通常版のモデル(Anima なら Base)を使ってください。今回は Base の CFG 4 で、リボンが5枚中3枚から0枚になりました。
まとめ
ネガティブプロンプトが効かないときは、まず CFG を見てください。CFG 1 なら、ネガティブは計算に使われていません。Anima Turbo のような速いモデルはその代わりに速く描けるので、ポジティブを具体的に書いて使いこなすのが基本です。ネガティブで細かく消したいときは、Base のような CFG を使うモデルに切り替えましょう。
検証メモ
- 枚数:比較の表の15条件(「→」の行は2条件)×シード5つ=75枚が、今回生成したすべての画像です。表の下の4行は検証1・検証4で触れた条件で、red はリボンではなく赤い物を消せるかを見たため、リボンの枚数は数えていません。
- 時間の測り方:モデルを読み込んだ後の1枚ごとの実行時間(ComfyUI の記録)を5枚で平均したものです。
- ほかの記事との差:Anima Turbo の1枚の時間は、ほかの記事では約1.3〜1.8秒と書いています。測り方や ComfyUI の版が違う可能性があります(RTX 5090 の生成速度の実測)。
- 未確認のこと:VRAM の使用量。別のモデルや別のネガティブ(画風や画質に関する言葉など)で NAG が効くか。
試した環境
| OS / GPU | Windows 11 / NVIDIA GeForce RTX 5090(32GB) |
| ComfyUI | v0.43.0(ポータブル版、カスタムノードなし) |
| モデル | Anima Turbo v1.1(anima-turbo-v1.1.safetensors)、比較用に Anima Base v1.0 |
| 共通の設定 | 832×1216、Turbo は 10 ステップ・euler・simple、Base は 30 ステップ・CFG 4・er_sde・simple |
| シード | 11, 22, 33, 44, 55 の5つ(すべての条件で同じ) |
| 確認した日 | 2026年10月30日 |
ポジティブプロンプトは全条件で同じです。
masterpiece, best quality, score_7, safe, 1girl, solo, school uniform, short brown hair, green eyes, smile, holding book, library, sunlight through window, upper body, looking at viewer

