Wan 2.2 の動画を ComfyUI-KJNodes のノードでよくできるのかを比べたところ、今回の条件では4つとも、はっきりよくなったとは言えない結果でした。
KJNodes の使い方⑥で「動いた」ことまでは確かめた Wan 用の4つのノードを、今回は効果があるかに絞り、シードを5つ変えて試しています。効果が見えなかったことも、条件と一緒にそのまま載せます。測り方の補足は末尾の「検証メモ」へ。
WanVideoNAG:CFG 1 でネガティブを効かせる
14B の高速設定(LightX2V で4ステップ)は CFG 1 で作るため、ネガティブプロンプトがほとんど効きません(トラブルの記事)。NAG(Normalized Attention Guidance)は、CFG を上げずにネガティブを効かせる方法で、WanVideoNAG はそれを Wan にかけるノードです。


プロンプトに「snowy forest」「golden light」と書いた上で、NAG のネガティブに「snow, snowflakes, white ground」や「sun, sunlight, lens flare」を入れました。どれも、雪や光は消えませんでした。強さ(nag_scale)を初期値の 11 から 20 に上げても同じです。変わったのは、キツネの位置や大きさ、木の並びといった絵の配置でした。
プロンプトとネガティブで正反対のことを頼んだので、プロンプトが勝ったと考えられます。NAG が本来ねらうのは「ぼやけ」「低画質」などの避けたいものなので、そうした使い方での効き目は、今回の比べ方では確かめられていません。
- ワークフロー(14B+WanVideoNAG)をダウンロードComfyUI の画面にドラッグ&ドロップで読み込めます
WanVideoEnhanceAVideoKJ:動画の質を上げる
Enhance-A-Video は、作者の説明では、動画の質を上げる方法です。weight で強さを決めます(初期値 2)。14B の high・low 両方にかけて、weight 1・2・4 を比べました。

weight 1 と 2 は、5本とも「なし」とほとんど見分けがつきませんでした。weight 4 では、シード44と55で構図が変わり、ほかの3本は似た絵のままでした。動きのなめらかさは、静止画の比較では判断できないため、ここでは書いていません。生成時間は33〜34秒で、なし(約39秒)より長くはなりませんでした。
- ワークフロー(14B+Enhance-A-Video)をダウンロードComfyUI の画面にドラッグ&ドロップで読み込めます
ApplyRifleXRoPE_WanVideo:長い動画を崩れにくくする
Wan 2.2 14B の公式テンプレートは 81 フレーム(16fps で約5秒)です。RifleX は、作者の説明では、学習した長さより長い動画を作るための方法です。そこで倍の 161 フレーム(約10秒)にして、あり・なしを比べました。


今回の161フレームでは、RifleX なしでも5本とも崩れずに最後まで作れ、あり・なしの差は、木やキツネの位置が少し変わる程度でした。1本あたりの時間は、どちらも約94秒(81フレームの約2.4倍)でした。もっと長い動画で差が出るかは、試していません。
- ワークフロー(14B・161フレーム+RifleX)をダウンロードComfyUI の画面にドラッグ&ドロップで読み込めます
WanChunkFeedForward:VRAM の山を下げる
計算を小分けにして、VRAM の使用量の山を下げるノードです。作者は「出力が変わることがある」と注意しています。5B の 1280×704・121フレームで、chunks 2 のあり・なしを比べました。

| 1本あたりの時間(2本目以降の平均) | 絵 | |
|---|---|---|
| なし | 約137秒 | — |
| chunks 2 | 約132秒 | 5本とも、なしとほぼ同じ |
絵は5本ともほぼ同じで、時間はわずかに短くなりました。VRAM は、GPU 全体の使用量を測ったところ、どちらも約27GB でした。今の ComfyUI(0.43.0 で確認)は、VRAM が空いていれば使えるだけ使ってモデルを読み込むため、このノードで山が下がった分は、この測り方では見えませんでした。VRAM が少ない GPU で効くかは、試せていません。
- ワークフロー(5B+ChunkFeedForward)をダウンロードComfyUI の画面にドラッグ&ドロップで読み込めます
使ってみて気づいたこと
- 今回の4つは、どれも「入れれば目に見えてよくなる」ものではなかった。まずは公式テンプレートの設定で作り、困ったことがあるときに試すくらいでよい
- NAG のネガティブで、プロンプトに書いたものは消せなかった。消したいものは、まずプロンプトから外す
- 14B は high と low の2つのモデルで作るので、今回は KJNodes のノードを両方にかけた(片方だけにかけたときの違いは試していない)。KJNodes の Wan 用ノードは、作者が「実験的(EXPERIMENTAL)」としている。版が変わると結果も変わることがある
RTX 5090 以外の人へ
今回の生成時間は RTX 5090 での値です。14B(4ステップ・81フレーム)は1本約33〜39秒、161フレームでは約94秒、5B は約132〜137秒でした。VRAM が少ない GPU では、まず Wan 2.2 の使い方の「RTX 5090 以外の人へ」を見てください。ChunkFeedForward が小さい GPU で効くかは、筆者は確かめていません。
よくある質問(FAQ)
Q. Wan 2.2 で KJNodes の NAG を使うとネガティブは効きますか
筆者の試験(14B・4ステップ・CFG 1)では、プロンプトに書いた雪や光を NAG のネガティブで消すことはできず、絵の配置が変わっただけでした。ぼやけなどの避けたいものへの効き目は確かめていません。
Q. WanVideoEnhanceAVideoKJ の weight はいくつがよいですか
筆者の比較では、weight 1・2 はなしとほぼ同じで、4 にすると構図が変わることがありました。初期値の 2 から試し、変わりすぎるなら下げてください。
Q. Wan 2.2 で長い動画を作るには RifleX が必要ですか
筆者の試験では、14B の 161フレーム(約10秒)は RifleX なしでも崩れませんでした。もっと長い動画では差が出る可能性がありますが、試していません。
Q. WanChunkFeedForward で VRAM は減りますか
筆者の環境では、絵は同じで時間がわずかに短くなりましたが、VRAM の差は今の ComfyUI の作りのため測れませんでした。
まとめ
- Wan 用の KJNodes 4つを、シード5つずつで比べた(今回のプロンプトと設定では)
- NAG:プロンプトに書いたものは消えず、配置が変わった。Enhance-A-Video:weight 4 で構図が変わる程度
- RifleX:161フレームでは差なし。ChunkFeedForward:絵は同じで少し速く、VRAM の差は測れなかった
- どれも必須ではない。困ったときに試すノードとして覚えておく
検証メモ
- 時間の測り方:同じ条件の5本のうち、モデルの読み込みが入る最初の条件の1本目は長くなりました(14B は 369.1 秒、5B は 225.4 秒)。5B の表の時間は、2本目以降の平均です。
- VRAM の値:約27GB は、5B の2本目以降で記録した GPU 全体の使用量のピークです(27,417〜27,677 MiB)。ノードだけの使用量ではありません。
- 絵の比べ方:比較は真ん中のコマ(RifleX は最後のコマ)を筆者が目で見たものです。動きのなめらかさは比べていません。
参考にした資料
- ComfyUI-KJNodes(GitHub・作者のリポジトリ):各ノードの説明(NAG・Enhance-A-Video・RifleX の元の手法へのリンク、「実験的」の表示)
- Normalized Attention Guidance(GitHub)、Enhance-A-Video(GitHub)、RIFLEx(GitHub):それぞれの手法の作者のリポジトリ

