MiniMax H3を2Kにする方法|ComfyUIコアの潜在アップスケールとSol-H3-VAEをRTX 5090で実測

MiniMax H3 で 2K に仕上げたラーメン屋台の中央フレーム(AI 生成) AI動画・プロンプト

この記事について(広告・アフィリエイトリンクはありません)

紹介しているソフトとモデルは、すべて無料で入手できるものです。記事内の画像と動画は AI で生成したものです。

2026年10月28日、ComfyUI 本体に MiniMax H3 向けの機能が2つ入りました。動画の下書きを潜在空間のまま拡大する「潜在アップスケール」と、デコードを速くする「Sol-H3-VAE」への対応です。

この記事では、768p で作った H3 の動画を 2K(2560×1440)に仕上げるワークフローを組みました。RTX 5090 で、どの段階に何秒かかるかを測っています。使ったのは ComfyUI 本体のノードだけで、カスタムノードは入れていません。

この記事でわかること

  • 2K に仕上げるワークフローの組み方(配布 JSON あり)と、各段階の時間と VRAM(低解像度生成・拡大・再サンプリング・デコード)
  • 2K を直接生成した場合、従来の「画像に戻して拡大」した場合との比較
  • 標準 VAE と Sol-H3-VAE の速さと画質の違い、音声がどう扱われるか

先に注意(2026年11月2日時点)

  • この2つの機能は、リリース版の ComfyUI にはまだ入っていません。master(開発版)か nightly ビルドが必要です。
  • 公式の 2K 用ローカルテンプレートは、現時点ではありません。この記事のワークフローは当サイトで組んだものです。
  • MiniMax H3 は EU・英国・韓国・米国がライセンスの対象地域外です。Sol-H3-VAE の重みも MiniMax H3 のライセンスに従います(末尾の検証メモを参照)。

先に結論(今回のテスト条件で)

経路(5秒・124フレーム)時間
2K(2560×1440)を直接生成(Turbo 8ステップ)1,138秒
768p で生成 → 潜在アップスケール → 3ステップ再サンプリング → Sol int8 でデコード503秒
  • 768p で作って 2K に仕上げると、直接生成より 約56%短く(約2.3倍速く)なりました。ただし同じシードでも、直接生成とは構図が違う絵になります。
  • 潜在アップスケールの処理そのものは 1.5秒 です。画像に戻して拡大し、再エンコードする従来の方法より約60秒短くなります。
  • 2K のデコードは、Sol-H3-VAE(int8)が 7.1秒、標準 VAE(int8)が18.5秒でした。約2.6倍速い代わりに、VRAM を多く使います。
  • 2K 仕上げで一番時間がかかるのは 再サンプリング で、1ステップ約129秒でした。通しの約77%を占めます。
  • denoise 0.30・3ステップがおすすめです。0.44 にすると、絵の中身まで変わりました。
  • 音声は拡大ではそのまま通ります。再サンプリングすると音も作り直されるので、元の音を残したいときは音声だけ1段目のものに戻します。

試した環境

項目内容
GPURTX 5090(32GB)、ドライバー 621.01。計測前に他アプリが使っていた VRAM は約1.8GB
CPU / RAMRyzen 9 9950X3D / 128GB
OSWindows 11
ComfyUIポータブル版+master コミット 17ff1dcce963bd9f23095ec9b28febbfc4db8388(2026-11-01 19:14 UTC、v0.43.0-26-g17ff1dcc)。フロントエンド 1.57.6
Python / PyTorch3.13.14 / 2.14.0+cu130
カスタムノードなし
生成条件5秒(124フレーム・24fps)、同じプロンプト・シード(20261102)
モデルfl2va pruned int8 / qwen3vl nvfp4 / 映像 VAE int8 / 音声 VAE fp32 / 公式 Turbo LoRA(fl2v 8step、強さ1.0)
1段目の設定res_multistep・simple・8ステップ
測り方ノードごとの実行時間。モデル読み込み後(2回目以降)の値で、初回の読み込み込みは別に記載。VRAM・RAM は1秒ごとに記録したピーク

VRAM の見方

ComfyUI は空いている VRAM にモデルをできるだけ載せます。そのため31GB 台のピークは「必要な量」ではなく「32GB をほぼ使い切った値」です。他アプリの約1.8GB も含みます。

2つの機能が入っていることは、git で確かめました。

PR内容マージコミットマージ日時(UTC)
#17412潜在アップスケール35060f02026-10-28 20:05
#17411Sol-H3-VAE 対応0df16462026-10-28 23:46

2つの新機能で何が変わる?

潜在アップスケール(PR #17412)

H3 が作った動画の latent(潜在)を、画像に戻さずに拡大する機能です。latent は、画像を圧縮した中間データのことです。

前回の記事で紹介したサードパーティの Latent Upscaler と同じ重みを、ComfyUI 本体のノードで使えるようにしたものです。

アップスケーラーのモデルカードには、次のように書かれています(当サイトの実測ではありません)。

項目モデルカードの記載
ライセンスApache-2.0(リポジトリに LICENSE ファイルはなし)
パラメーター数345,280,216
サイズbf16・fp16 各約691MB、fp32 .pth 約1.38GB
学習データ約8万ペア(動画約7万、2K 画像約8千)。出所の記載なし
倍率1.0〜4.0倍

Sol-H3-VAE 対応(PR #17411)

Sol-H3-VAE は、H3 の標準デコーダー(36層)を、24層・16.2億パラメーターの非因果デコーダーに蒸留したものです(モデルカードの説明)。蒸留は、大きなモデルの動きを小さなモデルに覚えさせる方法です。新しいノードはなく、ふつうの Load VAE で読めます。

今回使ったファイルは3つです。どれも models\vae に置きます。

ファイル入手元サイズ
minimax_h3_sol_vae_int8_convrot.safetensorsComfy-Org/MiniMax-H3 の vae/1.99GB
minimax_h3_sol_vae_fp16.safetensors同上3.60GB
sol_h3_vae.safetensors(fp32、デコーダーのみ)Efficient-Large-Model/Sol-H3-VAE6.47GB

注意

sol_h3_vae.safetensors はデコーダーだけのファイルなので、エンコードには使えません(VAE Encode で AttributeError: ... no attribute 'quant_conv')。I2V の入力画像などをエンコードするときは、標準 VAE を別に読み込んでください。Comfy-Org 版の Sol でエンコードできるかは試していません。

モデルカードと PR の値(当サイトの実測ではありません)

出典・条件標準 VAESol
モデルカード:768p・RTX 5090(eager)12.5秒5.0秒
モデルカード:720p・GB200(CUDA グラフ)6.16秒0.34秒
モデルカード:2K・GB200(CUDA グラフ)14.5秒0.89秒
PR #17411:1344×768×124 フレーム・RTX 5090fp16 10.7秒 / int8 4.61秒fp16 3.28秒 / int8 1.70秒

PSNR(元の画像にどれだけ近いかを表す数値。高いほど近い)は、検証用の latent で45.4dB、生成した 768p の動画で38.2dB とされています。2K の値は GB200 と CUDA グラフの条件なので、RTX 5090 の目安にはなりません。

ComfyUI を master にする

リリース版には入っていないので、master の ComfyUI を用意します。いま使っている環境を壊さないように、別のフォルダーに用意するのがおすすめです。当サイトでは、ポータブル版をもう1つ作り、ComfyUI 本体だけ master に入れ替えました。

git clone https://github.com/Comfy-Org/ComfyUI.git
cd ComfyUI
git checkout 17ff1dcc
git log --oneline -1

git checkout 17ff1dcc は、当サイトが測ったコミットに固定する手順です。当サイトでは、clone した時点の master の先端がこのコミットでした。最新の master で試すときは、この行を飛ばします。

master は毎日変わるので、動かなくなったときのためにコミットを控えておきます。モデルは extra_model_paths.yaml で既存のフォルダーを読ませると、二重に置く必要がありません。

あわせて読みたい

・ComfyUIをアップデートする方法

ワークフローの組み方

2K に仕上げるワークフロー全体
2K に仕上げるワークフロー全体
  1. 1段目:いつもの H3 T2V を 1344×768・Turbo 8ステップで作ります
  2. 拡大:Load Latent Upscale Model → MiniMax H3 Latent Upscale With Model(2560×1440)
  3. 2段目:拡大した latent を、同じモデル・同じシードで再サンプリングします。BasicScheduler を steps 3・denoise 0.30 にします。テキストは1段目のものをそのまま使います
  4. デコード:Load VAE で Sol int8 を読み、VAE Decode → 動画として保存
Load Latent Upscale Model
Load Latent Upscale Model
MiniMax H3 Latent Upscale With Model
MiniMax H3 Latent Upscale With Model
2段目のサンプラー
2段目のサンプラー
2段目のスケジューラー(3ステップ・denoise 0.30)
2段目のスケジューラー(3ステップ・denoise 0.30)
Sol-H3-VAE の読み込み
Sol-H3-VAE の読み込み

コアのノードだけ(20個)で組んでいます。当サイトで読み込んで実行し、503.5秒で 2560×1440・124フレーム(音声つき)ができることを確かめました。シードは固定にしてあります。

実測結果

段階ごとの時間

条件解像度ステップ・denoise時間内訳VRAM ピーク所見
A 基準(1段目だけ)1344×7688・1.0107秒サンプラー99.5秒(12.4秒/ステップ)、標準 int8 デコード4.9秒31.2GB3回で106.6〜107.2秒
A 初回(読み込み込み)1344×7688・1.0427秒テキストエンコーダー99.5、サンプラー291、デコード25.931.7GBモデルは HDD に置いている
拡大のみ1344×768→2560×1440–1.5秒6.1GB読み込み込みで6.8〜9.3秒
通し(おすすめ)1344×768→2560×14408 → 3・0.30503秒1段目98.8、拡大1.5、再サンプリング387、Sol int8 デコード7.231.2GB2回。再サンプリングが約77%
通し(denoise 0.44)同上8 → 3・0.44503秒1段目99.3、拡大1.5、再サンプリング387、Sol int8 7.131.3GB
通し(標準 VAE でデコード)同上8 → 3・0.44534秒デコード37.5秒(VAE の載せ直しを含む)31.3GB1回
通し(起動直後の初回)同上8 → 3・0.44580秒テキストエンコーダー49、1段目102、拡大7.7、再サンプリング386、デコード20.731.6GB
E 2K を直接生成2560×14408・1.01,138秒サンプラー1,081秒(135秒/ステップ)、デコード41秒31.5GB1回。OOM にはならなかった

ComfyUI 自体の RAM 使用は、1344×768 で43GB、2K の通しで47〜50GB でした。PC 全体では最大94GB です。

2K は直接作るより2段で作るほうが速い

RTX 5090 では、2K を直接作ることもできました。ただし時間は1,138秒で、2段で作る503秒の2倍以上です。

同じシードでも、直接生成した 2K と 768p の絵は一致しません。今回は、直接生成のほうが鍋に大きく寄り、画面からはみ出しました。768p で中身を確かめてから仕上げられるのも、2段に分ける利点です。

左から、直接生成した 2K、2段で仕上げた 2K(3ステップ・denoise 0.30)、2段で仕上げた 2K(6ステップ・denoise 0.44)
左から、直接生成した 2K、2段で仕上げた 2K(3ステップ・denoise 0.30)、2段で仕上げた 2K(6ステップ・denoise 0.44)

再サンプリングは denoise 0.30・3ステップがおすすめ

denoiseステップ全体(1段目の latent から、標準 int8 デコード込み)再サンプリング所見
0.302285秒258秒構図は1段目に近い。縁や持ち手の細部が増える
0.303415秒388秒構図を保ったまま細部が増える(おすすめ)
0.304542秒515秒麺の筋がやや太く、はっきりする
0.306800秒773秒
0.442285秒258秒
0.443415秒388秒鍋に緑と黄色の具が現れ、麺の形も変わる
0.444542秒515秒
0.446799秒773秒

1段目(768p 生成 約99秒)を含めた3ステップの通しは、503秒(Sol int8)、534秒(標準 int8、VAE の載せ直し込み)です。

  • どの条件も1ステップ約129秒で、時間はステップ数に比例しました。denoise を変えても時間は変わりません。
  • denoise 0.44 は、アップスケーラーの作者のワークフロー(2段目のシグマ 0.9035, 0.6316, 0.3158, 0)に近い値です(当サイトの換算)。作者のシグマをそのまま使っても414秒で、0.44 と同じように中身が変わりました。PR #17412 には推奨値の記載はありません。
  • 2ステップでも細部は増えます。急ぐなら 2ステップ(通しで約366秒の見込み、段階の足し算)も選べます。
左から、1段目を画像で拡大、拡大のみ、再サンプリング後(3ステップ・denoise 0.44)の比較
左から、1段目を画像で拡大、拡大のみ、再サンプリング後(3ステップ・denoise 0.44)の比較
左から、拡大のみ、denoise 0.30、denoise 0.44 の比較
左から、拡大のみ、denoise 0.30、denoise 0.44 の比較
denoise 0.30 のステップ数別(左から2、3、4ステップ)
denoise 0.30 のステップ数別(左から2、3、4ステップ)

解像度ごとの1ステップの時間

解像度1ステップの時間
864×4802.9秒
1344×76812.4秒
1920×108844秒
2560×1440129秒

目安として、画素数が約2倍で時間は約3〜4倍になりました(区間別:画素2.49倍→時間4.3倍、2.02倍→3.5倍、1.76倍→2.9倍)。解像度を上げるほど急に重くなります。理由は調べていません。

1080p 相当(864×480 → 1920×1088、3ステップ)も試しました。1080 は32の倍数ではないので 1088 にしています。

段階解像度ステップ・denoise時間VRAM ピーク
1段目864×4808・1.027秒31.0GB
拡大864×480→1920×1088–1.2秒3.0GB
再サンプリング+Sol int81920×10883・0.44142秒(再サンプリング133、デコード4.1)31.1GB

1080p 相当なら、通しで約170秒です。2K が重いと感じたら、1080p 相当で止めるのも手です。

拡大だけでは、形のある細部は増えない

再サンプリングをせずに拡大だけした動画は、輪郭が少し立っただけでした。

測る前は「拡大だけなら細部は増えない」と想定していました。ところが数値で見ると、細かい模様の量(ラプラシアン分散。2K にそろえて中央フレームで測定)は増えています。

経路細かい模様の量
1段目を画像で拡大(lanczos)18.1
拡大のみ(標準 int8 デコード)51.3
拡大のみ(Sol int8 デコード)44.0
従来経路(後述)23.2
2K 直接生成35.8
再サンプリング 0.30・3ステップ63.4
再サンプリング 0.44・3ステップ60.9

ただし4倍に拡大して見ると、拡大のみで増えた分は輪郭の乱れやオレンジ色のにじみでした。石畳の形は、画像で拡大したものより崩れています。「細かい模様は増えるが、形のある細部ではない」というのが正確なところです。2K らしい見た目にするには、再サンプリングが必要です。

4倍に拡大した比較(左から、画像で拡大、拡大のみ、再サンプリング後)
4倍に拡大した比較(左から、画像で拡大、拡大のみ、再サンプリング後)

従来経路(画像に戻して拡大)より約60秒短い

1段目の動画をいったんデコードし、画像として拡大(lanczos)してから、もう一度エンコードして再サンプリングする方法と比べました。再サンプリングの設定は同じ(3ステップ・0.44)です。

経路拡大部分の時間全体(1段目の latent から)ComfyUI の RAM見た目
潜在アップスケール1.5秒約415秒48GBくっきり
従来経路63〜67秒(デコード5〜6+拡大8〜10+エンコード48〜53)476〜483秒56GB麺の筋が柔らかい

差は拡大部分の約60秒です。RAM も8GB 少なく済み、見た目も潜在アップスケールのほうがくっきりしていました(中央フレーム1枚の目視)。

潜在アップスケール(左)と従来経路(右)
潜在アップスケール(左)と従来経路(右)

デコード単体の速さ(同じ latent、VAE を交互に3回ずつ)

解像度VAE時間1回目(読み込み込み)VRAM ピーク開始からの増加
2560×1440標準 int818.5秒18.2秒12.4GB約5GB
2560×1440標準 fp1642.8秒80.6秒12.1GB約7.2GB
2560×1440Sol fp3214.0秒48.8秒23.3GB約16GB
2560×1440Sol fp1613.8秒26.6秒21.7GB約13GB
2560×1440Sol int87.1秒7.1秒16.2GB約10.5GB
1344×768標準 int85.3〜5.5秒–10.7GB約3.5GB
1344×768標準 fp1612.0秒–10.6GB約5.8GB
1344×768Sol fp324.0〜4.4秒–16.0GB約8.9GB
1344×768Sol fp163.8秒–19.4GB約6GB
1344×768Sol int82.0〜2.1秒–9.9GB約4.2GB

時間は2回目以降の値で、1回目(読み込み込み)は各 VAE の最初のデコードです(2K は3回、768p は2回)。開始からの増加は、デコードを始めたときから増えた VRAM の量です。VRAM ピークには、前の処理の残りも含みます。

  • 2K では、Sol int8 が標準 int8 の約2.6倍速くなりました。開始からの増加は約2倍です(標準 int8 約5GB、Sol int8 約10.5GB)。
  • Sol の fp32 と fp16 は、時間も画質(後述)もほぼ同じでした。ファイルの大きい fp32 を選ぶ利点は、測った範囲ではありません。
  • 768p の結果は、PR #17411 の表(標準 int8 4.61秒、Sol int8 1.70秒)より少し遅くなりました。環境の違いの内訳は調べていません。
  • 通しの中で見ると、2K のデコード差は約11秒で、全体の2%ほどです。Sol で一番大きく縮むのは、再サンプリングのない「拡大のみ」や、デコードを何度もやり直すときです。

画質:標準 VAE と Sol

同じ latent を標準 VAE(int8)でデコードした結果を基準に、PSNR を測りました。124フレーム全体の値です。

素材標準 fp16Sol fp32 / fp16Sol int8Sol の最低フレーム
ラーメン屋台 2K57.4dB37.7dB37.7dB35.0dB
顔のアップ 2K59.3dB43.3dB43.3dB39.2dB
顔のアップ 768p59.2dB42.6dB42.6dB39.9dB
  • Sol は、fp32・fp16・int8 でほぼ同じ値でした(int8 との差は0.03dB)。
  • 差が大きく出たのは絵柄のほうです。雨粒や石畳が多いラーメン屋台は、顔より約5〜6dB 低くなりました。
  • モデルカードの値(38.2〜45.4dB)と近い範囲です。

128px の継ぎ目

Sol を使うと、肌などの平らな面に 128px ごとの薄い継ぎ目が出るという報告があります(ComfyUI issue #17429)。隣り合う画素の差を、128px の境界とそれ以外で比べました。1.0 なら境界に段差がありません。

素材標準 int8(横 / 縦)Sol(横 / 縦)
ラーメン屋台 2K1.14 / 1.071.29 / 1.23
顔のアップ 2K1.15 / 1.271.23 / 1.58
顔のアップ 768p1.14 / 1.191.27 / 1.53

Sol は境界の段差が数値の上で増え、特に縦方向で大きくなりました。報告と同じ傾向です。標準 VAE との差を8倍に強調すると、格子が見えます。

ただし、頬の中央フレームを2倍に拡大して見た範囲では、線は目で見て分かりませんでした。今回の肌は2段目で毛穴の質感が出ていて、報告のような平らな肌とは条件が違います。動画を再生したときの見え方と、ほかのフレームは確かめていません。気になる場合は、最後のデコードだけ標準 VAE に戻してください。標準 VAE では境界の段差が小さくなりました(2K で約11秒遅くなります)。

頬の拡大(左が標準 VAE、中央が Sol int8)と、標準 VAE との差を8倍にした画像(右)
頬の拡大(左が標準 VAE、中央が Sol int8)と、標準 VAE との差を8倍にした画像(右)

音声は拡大では変わらず、再サンプリングで作り直される

確認したこと結果
拡大の前後の音声 latent完全に一致
拡大だけしてデコードした音1段目と同じ(データが一致)
再サンプリング後音声 latent も変わる(音が作り直される)
音声だけ1段目に戻す1段目と同じ音になる
Sol 経路音声も出る(AAC、5.17秒)

H3 の latent は、映像と音声がセットです。潜在アップスケールは映像だけを拡大し、音声はそのまま通します。

ただし2段目の再サンプリングでは、音声も一緒に作り直されます。1段目の音を残したいときは、2段目のあとで映像と音声の latent を分け、音声だけ1段目のものに入れ替えてからデコードしてください(ComfyUI の分離・結合ノードを使用)。音声は別の VAE を通るので、Sol の影響は受けません。

1段目と2段目のどちらの音が良いかは、耳では確かめていません。

VRAM が少ない人へ

今回の測定は RTX 5090(32GB)だけです。2K の再サンプリング中は31.7GB まで使っていますが、これは空いている VRAM に載せられるだけ載せた値です。24GB 以下で動くかは確かめていません。

Sol-H3-VAE は画像を分けてデコードする(タイル分割)ことができず、解像度と長さに比例してメモリが増えます(PR #17411 の説明)。2K のデコードでは、開始からの増加で比べると、標準 int8 より5.5GB ほど多く使いました(Sol int8 約10.5GB − 標準 int8 約5GB)。VRAM が厳しいときは、まず 1080p 相当(1920×1088)で試すのがおすすめです。

あわせて読みたい

・ComfyUIのVRAM不足を解決する方法

よくある質問(FAQ)

Q. ComfyUI のリリース版で使えますか?

2026年11月2日時点では使えません。master か nightly ビルドが必要です。

Q. MiniMax H3 で 2K の動画は作れますか?

RTX 5090 では作れました。2K を直接生成すると1,138秒、768p で作ってから潜在アップスケールで仕上げると503秒でした(5秒の動画)。公式の 2K 用ローカルテンプレートはまだありません。

Q. Sol-H3-VAE を使うと全体はどれだけ速くなりますか?

2K のデコードは18.5秒から7.1秒になりました。ただし通し全体(約500秒)から見ると、約11秒の短縮です。全体を速くしているのは、潜在アップスケールで小さい解像度から仕上げられることのほうです。

Q. 再サンプリングは何ステップがいいですか?

当サイトでは、denoise 0.30・3ステップをおすすめにしました。2ステップでも細部は増えます。1ステップ約129秒なので、時間と相談して決めてください。

Q. 音声は壊れませんか?

拡大ではそのまま通ります。再サンプリングで音も作り直されるので、元の音を使いたいときは、音声の latent だけ1段目のものに戻します。

Q. Sol-H3-VAE でエンコードできますか?

公式リポジトリの sol_h3_vae.safetensors はデコーダーだけなので、できません。エンコードには標準 VAE を使ってください。

まとめ

  • 768p で作って 2K に仕上げる方法は、5秒の動画で503秒でした。2K を直接作る1,138秒の半分以下です。時間の大半は 2K での再サンプリング(1ステップ約129秒)で、潜在アップスケール(1.5秒)と Sol-H3-VAE(デコード7.1秒)は、どちらも短い時間で済みます。
  • おすすめの設定は、1344×768・Turbo 8ステップ → 2560×1440 に拡大 → 3ステップ・denoise 0.30 → Sol int8 でデコードです。
  • 音声は拡大では変わりませんが、再サンプリングで作り直されます。

H3 の導入や基本の使い方は、こちらの記事にまとめています。

この記事の検証環境

RTX 5090(32GB)/ Ryzen 9 9950X3D / 128GB / Windows 11 / ComfyUI master 17ff1dcc(カスタムノードなし)/ 2026年11月2日
これまでの検証の一覧はこちら

検証メモ(ライセンスなど未確定の点)

  • Sol-H3-VAE のライセンス:リポジトリに LICENSE ファイルはありません(2026年11月2日確認)。README の License 節の原文は次のとおりです。”The code is released under Apache-2.0. The weights are distilled from the MiniMax-H3 VAE and are subject to the MiniMax-H3 license.”
  • MiniMax H3 のライセンスとの関係:MiniMax H3 Community License では、蒸留で作ったモデルも「Model Derivatives」に含まれます。対象地域外(EU・英国・韓国・米国)での利用の制限、年商2,000万ドルを超える場合の別途許可などが、Sol の重みにもかかると読めます。当サイトでは法的な判断はしていません。使う前にライセンス原文を確認してください。
  • Comfy-Org 版の Sol(int8 / fp16):Comfy-Org/MiniMax-H3 リポジトリで配布されています。リポジトリのカードには MiniMax H3 のライセンスが示されていますが、ファイルごとの表記はありません。
  • アップスケーラーのライセンス:モデルカードに Apache-2.0 と書かれていますが、リポジトリに LICENSE ファイルはありません。学習データの出所も書かれていません。
  • デコードの1回目:2K の標準 int8 と Sol int8 だけ、1回目と2回目以降がほぼ同じでした(18.2秒と18.5秒、7.1秒と7.1秒)。この2つはデコード単体の前の通しの測定で使っていて、ほかの3つはこの測定で初めて読みました。ファイルが OS のキャッシュに残っていた可能性がありますが、キャッシュの状態は記録していないので、理由は未確認です。
  • 測定の順序:2K の再サンプリングが1ステップ129秒と重かったので、途中で測定の順序を入れ替えました。そのとき、始まった直後の1条件を2度中断して破棄し、後でやり直しています(中断した分は数値に含みません)。
  • 測定中の CPU 作業:2K 直接生成(1,138秒)と denoise 0.30・3ステップの1回目の測定中は、画面の読み込みと解析を CPU で並行した時間があります。
  • Sol の CPU デコード:CPU でのテストは9分で終わらず、ほかの計測への影響を避けるために中断しました。GPU では成功しています。
  • 未確認のこと:音の聞き比べ、動画を再生したときのちらつき、24GB 以下の GPU での動作、128px の継ぎ目の他のフレームでの見え方。

参考リンク

この記事を書いた人
こまたろ

画像生成 AI に興味を持ったのがきっかけで、3年ほど前から ComfyUI を触っています。始めたころは今ほど情報がそろっておらず、何時間もかけて整えた環境が翌日のアップデートで動かなくなったこともありました。

KOBO Lab は、自分の学び直しと、これから ComfyUI を始める人が同じところでつまずかないようにと思って始めたサイトです。初心者も中級者も、迷ったときに開くサイトを目指しています。

検証は、RTX 5090 を積んだ自作 PC 1台で、実際に動かして確かめています。作業を楽にするための自作ツールも作っています。

記事は、運営者自身の経験と検証をもとに、Claudeで下書きを作り、GrokボットとMuseでも添削や確認をして仕上げています。

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