Anima で作ったキャラの背景を、あとから切り抜かずに最初から透明にできたら楽です。2026年11月2日に Hugging Face で公開された Anima-RGBA は、それを実現する VAE と LoRA のセット。VAE は、画像と潜在データ(latent)を変換する部品です。
2026年11月3日に、ComfyUI で主試験63枚+通常 VAE 10枚の計73枚を生成して確かめました。カスタムノードは使っていません。
先に結論(今回のテスト条件で)
- VAE を差し替えて LoRA を足すだけで、4チャンネルの透過 PNG が保存できました。
- 速さは Anima 本体とほぼ同じで、1024×1024・30ステップが、LoRA ありで 1枚約6.7秒でした。
- 迷ったら LoRA 強さ1.0・プロンプトに
transparent backgroundで始めてください。 - LoRA の効果は大きいです。半透明の画素の割合は、難しい5種類の平均で 17.6%→1.3% に減りました。LoRA なしだと、顔や服まで透けることがありました。
- 髪の毛先はきれいに切り抜けました。一方で ガラスやベールの透け感は、ほぼ不透明になります。
- 25枚中1枚は、背景が透明になりませんでした。
- Anima 本体は非商用ライセンスです。生成した画像は商用利用できますが、モデルを組み込んだ有料サービスは別ライセンスです。RGBA の LoRA は個別のライセンスがカードに書かれていないため、別途確認が必要です。

試した環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| GPU | RTX 5090(32GB)、ドライバー 621.01 |
| CPU / RAM | Ryzen 9 9950X3D / 128GB |
| OS | Windows 11 |
| ComfyUI | ポータブル版+master 17ff1dcc(v0.43.0-26)。カスタムノードなし |
| モデル | anima-base-v1.0(本体)/ qwen_3_06b_base(テキストエンコーダー) |
| 設定 | 1024×1024、30ステップ、CFG 4.5、er_sde、simple(モデルカードの例と同じ) |
| ネガティブ | worst quality, low quality, score_1, score_2, score_3, blurry, jpeg artifacts, nsfw |
| 検証日 | 2026年11月3日 |
必要なファイルと入れ方
ファイルは2つです。Anima 一式がまだの人は、先にAnimaの使い方で準備してください。
| ファイル | サイズ | 置き場所 |
|---|---|---|
| anima_rgba_vae.safetensors | 508MB | models\vae |
| anima_rgba_lora.safetensors | 184MB | models\loras |
いつもの Anima のワークフローで、変えるのは3か所です。
VAE を読み込むをanima_rgba_vae.safetensorsにするLoRA ローダー(モデルのみ)を足して、anima_rgba_lora.safetensorsを強さ1.0で読み込む- プロンプトに
transparent backgroundを入れる
保存は 画像を保存 ノードのままで構いません。VAE Decode の出力が4チャンネルになり、そのまま透過 PNG になります。手元の RGBA VAE の63枚すべてが RGBA の PNG でした。通常の Qwen-Image VAE で作った10枚は RGB でした。

下の JSON は、画面に読み込んで実行し、成功を確かめたものです。
- anima_rgba_workflow.jsonComfyUI にドラッグして読み込みます(Anima 本体 + Anima-RGBA の VAE と LoRA、1024×1024、30ステップ)
モデルの名前や置き場所で止まったら、Animaが動かないときの対処も見てください。
LoRA のありなしで、どれだけ変わるか
髪、ベール、ガラス、煙とろうそく、白い服の5種類を、シード5個ずつで作りました。半透明の割合は、モデルカードと同じ「アルファ値 0.06〜0.94 の画素の割合」です。
| 素材(各5枚) | LoRA 1.0 | LoRA なし |
|---|---|---|
| 長い髪 | 1.77% | 14.27% |
| ベールとドレス | 2.14% | 38.62% |
| ガラス瓶と氷 | 1.03% | 10.74% |
| 煙とろうそく | 0.81% | 4.42% |
| 白い髪と白い服 | 0.84% | 19.82% |
| 平均 | 1.32% | 17.57% |
モデルカードの自社テストは、8プロンプト×2シードで0.9%(LoRA あり)と12.8%(なし)です。傾向は同じでした。
LoRA なしでも背景は抜けますが、顔や服まで半透明になります。半透明の画素が多いほど良いわけではなく、キャラの素材には LoRA ありが向きます。

髪の毛先、ガラス、煙はどうなる?
髪の毛先
毛先は細かく残りました。濃い色と明るい色の背景に置いても、輪郭に白いふちは目立ちませんでした。カードの注意書きでは細かい半透明は弱点とされていますが、線としての毛先なら実用的に見えます。

ガラスとベール
透明なはずの部分は、ほぼ不透明になりました。瓶の向こう側は透けません。カードにも「生成されるアルファはほぼ二値で、透ける服はたいてい不透明になる」とあります。あとで透明度を手で調整する前提なら、形の切り抜きとして使えます。

煙と失敗した1枚
プロンプトの煙は、ほとんど形になりませんでした。シード303の1枚は、99.8%の画素が不透明で、背景が抜けていません。LoRA ありの25枚で、背景が残ったのはこの1枚です。抜けないときは、シードを変えるのが手軽でした。

LoRA の強さとトリガーの重み
カードの「背景が抜けないときは LoRA を上げず、トリガーの重みを上げる」という助言を確かめました。
| 設定 | 髪(3枚) | 白い服(3枚) |
|---|---|---|
| LoRA 1.0、重み 1.0 | 1.67% | 0.83% |
LoRA 1.0、(transparent background:1.3) | 1.72% | 未測定 |
| LoRA 1.5、重み 1.0 | 2.02% | 4.99% |
重み1.3では、髪についてはほとんど変わりませんでした(白い服は未測定)。LoRA 1.5は、白い服の1枚で12.33%まで増えています。上げるなら、カードのとおりトリガーの重みからがよさそうです。
速度と VRAM
| 条件 | 時間 | VRAM ピーク |
|---|---|---|
| 起動直後の1枚目(読み込み込み) | 70.0秒 | 8.3GB |
| 2枚目以降(LoRA あり25枚の中央値) | 6.69秒 | 8.0GB |
| LoRA なし(25枚の中央値) | 6.52秒 | 7.9GB |
| 通常 VAE(10枚の中央値) | 6.47秒 | 7.9GB |
VRAM ピークは条件ごとの最大値で、ほかのアプリが使っていた分(計測開始時に約2.6GB)を含みます。L ドライブは HDD なので、SSD なら1枚目はもっと短いはずです。
RTX 5090 以外の人へ
--reserve-vram は、OS などのために VRAM を残しておく設定です。RTX 5090 でこの値を変えて試しました。
--reserve-vram | 生成 | 2枚目の時間 | 増えた VRAM |
|---|---|---|---|
| 20(12GB を想定) | 2枚とも成功 | 6.57秒 | 約6.1GB |
| 24(8GB を想定) | 2枚とも成功 | 6.58秒 | 約6.1GB |
VRAM 容量が少ない環境を想定した簡易テストです。実際の 8GB・12GB 搭載 GPU での動作を再現・保証するものではありません。 この条件では、増えた VRAM が約6GB に収まったので、時間も変わりませんでした。
GPU 選びの目安は、ComfyUIに必要なPCスペックにまとめています。
公式の例はそのまま再現できる?
カードの4枚と同じプロンプト・シード・設定で作りました。4枚とも、同じ絵にはなりませんでした。 構図やテーマは近く、透過の出来も同じくらいです。原因は調べていません。カードに ComfyUI の版が書かれていないので、環境の差の可能性があります。

ライセンスと商用利用
原文を確かめた範囲をまとめます(2026年11月3日時点)。
- Anima-RGBA の表記:Hugging Face のタグは Apache-2.0 です。カードの License 節に書かれているのは「VAE は Apache-2.0 の Qwen-Image VAE から派生」という1文だけで、LoRA のライセンスは個別に書かれていません。
- Anima 本体:CircleStone Labs Non-Commercial License です。このライセンスでは LoRA も「Derivative(派生物)」に含まれます。そのため、LoRA を Anima と使うときは本体の条件も関係します。
- 生成した画像:本体の README に、商用利用できると書かれています。例として画像の販売、有償の依頼、有料ゲームの素材が挙げられています。
- 別ライセンスが要る使い方:モデルを API や有料の生成サービスとして提供すること、有料製品にモデルの重みを組み込むことです。
- 禁止されていること:違法な内容や、同意のない性的画像の生成です。
成人向けの用途は試していない
カードによると、LoRA の学習キャプションは safe と sensitive だけです。成人向けの内容は学習に含まれていないと読めます。この記事では成人向けの画像は作っておらず、その用途での透過の出来も試していません。
よくある質問(FAQ)
Q. Anima-RGBA にカスタムノードは必要ですか?
不要でした。ComfyUI 標準の VAE ローダー、LoRA ローダー、画像を保存ノードだけで透過 PNG が保存できました。
Q. 背景が透明にならないときはどうすればいいですか?
まずシードを変えます。次に (transparent background:1.3) のようにトリガーの重みを上げます。LoRA の強さを上げると、白い服の例で半透明が増えました。
Q. VAE だけ差し替えても透過になりますか?
背景は抜けますが、顔や服まで半透明になりやすいです。今回の25枚では、半透明の画素が平均17.6%でした。LoRA も一緒に使うのがおすすめです。
Q. ガラスや半透明の服は作れますか?
形は切り抜けますが、透け感はほぼ不透明になりました。カードにも、透ける服はたいてい不透明になると書かれています。
Q. Anima-RGBA で作った画像は商用利用できますか?
Anima 本体の README では、生成画像の商用利用が認められています。ただし、モデルを組み込んだ有料サービスなどは別ライセンスです。RGBA の LoRA は個別のライセンスがカードに書かれていないため、別途確認が必要です。
Q. VRAM はどのくらい必要ですか?
RTX 5090 での実測では、増えた VRAM は約6GB でした。--reserve-vram を変えた簡易テストでは成功しましたが、実際の 8GB GPU での動作は確かめていません。
まとめ
- Anima-RGBA は、VAE の差し替えと LoRA の追加だけで透過 PNG を作れます。
- 1024×1024・30ステップで1枚約6.7秒(LoRA あり)と、LoRA なしや通常 VAE の約6.5秒との差は約0.2秒でした。
- キャラの切り抜きには十分でしたが、ガラスやベールの透け感は残りません。
- 25枚中1枚は背景が抜けなかったので、シードを変えられるようにしておくと安心です。
検証メモ
- 枚数:RGBA VAE 63枚(カード再現4、LoRA 1.0 25、LoRA なし25、LoRA 1.5 6、トリガー1.3 3)、通常 VAE 10枚の計73枚です。ほかに
--reserve-vramのテスト4枚と、配布 JSON の実行確認1枚があり、生成総数は78枚です。 - 時間:本文の約6.7秒は LoRA あり25枚の中央値(6.69秒)です。約6.5秒は別の条件の値で、LoRA なし25枚の中央値が6.52秒、通常 VAE 10枚の中央値が6.47秒でした。
- 透過の判定:カードと同じく、アルファ値0.5未満の画素が5%以上なら「透過」としました。この基準で LoRA ありは25枚中24枚、なしは25枚中25枚でした。
- 画質の評価:半透明の割合と目視です。半透明の割合が低いことは、切り抜きがくっきりしているという意味で、絵として優れているという意味ではありません。
- 未確認のこと:Anima Turbo や派生モデルとの組み合わせ、1024×1024 以外の解像度、実際の 8GB・12GB GPU、成人向けの用途、Civitai での関連モデルの数。
- モデルカードの数値:VAE の PSNR(透過画像34.94dB、白背景合成時)などはカードの値で、私は測っていません。

