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紹介しているソフトとモデルは、すべて無料で入手できるものです。検証の記録に、試した環境の一覧があります。
Idol Turbo の LoRA は、配布されたファイルをそのまま置いても ComfyUI v0.44.0 では読み込まれません。 エラーで止まらないので気づきにくく、形の崩れた塊が出てきます。キーの名前を変換すると、画像1枚からの 3D 生成が RTX 5090 で約2秒になりました。
Idol Turbo は、画像1枚から 3D ガウススプラットを作る Idol を蒸留した LoRA です。50ステップと CFG が必要な処理を、公式値では5ステップ、ガイダンスなしに減らします。作者も「ComfyUI の中では2段階の分割を動かしていない」と注記していて、今回はそこを実機で確かめました。
先に結論(今回のテスト条件で)
騎士の画像で4回ずつ続けて測った値です。262,144 ガウシアン、モデルの読み込み後、PLY の保存を含みます。
| 設定 | サンプリング | 全体 | VRAM ピーク(全体) |
|---|---|---|---|
| Idol 50ステップ、CFG 3 | 16.7秒 | 17.7秒 | 7.1GB |
| Idol 20ステップ、CFG 3 | 6.8秒 | 7.8秒 | 7.0GB |
| Turbo 5ステップ(Slow+Fast) | 1.0秒 | 2.0秒 | 6.4GB |
| Turbo 5ステップ(Slow のみ) | 0.9秒 | 1.8秒 | 6.5GB |
- そのままでは動きません。 下の手順で LoRA のキー名を変換してください。
- 変換すると、形と色は崩れません。 素の Idol を5ステップにしたときの色ずれや穴も出ませんでした。
- ただし、細部は柔らかくなります。 確認用には十分で、仕上げなら 20〜50 ステップを勧めます。

そのまま置くと何が起きる?
作者の説明は、次のとおりです(公式の README)。
idol_turbo_slow_comfyとidol_turbo_fast_comfyをmodels\lorasに置く- CFG 1.0、5ステップで実行する
- キーは互換性を確認済み、強さは 1.0
この通りにすると、ComfyUI は実行を止めません。LoRA が効かないまま、ガイダンスなしの Idol が5ステップ動きます。 上の画像の「説明どおりに置いたまま」がその結果です。
原因はコンソールに出ていました。
lora key not loaded: blocks.0.attn.out.lora_down.weight
lora key not loaded: blocks.0.attn.out.lora_up.weight
ComfyUI は、キーの先頭が diffusion_model. になっている形式を読みます。配布ファイルのキーは blocks.0... から始まっているので、一致するものがありません。LoRA 1つにつき 224 行の警告が出ます。
私も最初は、形が崩れたのを見て設定の間違いを疑いました。作者の比較画像と違いすぎたのでログを読み、この警告を見つけました。
直し方:キーに接頭辞を足す
重みの中身は変えず、名前だけ足して別名で保存します。ComfyUI の Python で実行してください。
import pathlib, sys
from safetensors.torch import load_file, save_file
folder = pathlib.Path(sys.argv[1])
for name in ("idol_turbo_slow_comfy", "idol_turbo_fast_comfy"):
sd = load_file(folder / f"{name}.safetensors")
out = {"diffusion_model." + k: v for k, v in sd.items()}
save_file(out, folder / f"{name}_prefixed.safetensors")
上を convert_idol_turbo_lora.py として保存し、ポータブル版なら次のように実行します。
python_embeded\python.exe -s convert_idol_turbo_lora.py ComfyUI\models\loras
_prefixed が付いた2つのファイルができます。各 59MB、キーは 224 個です。ComfyUI を起動し直してこちらを選ぶと、lora key not loaded は出なくなります。ライセンスは元と同じ Apache-2.0 です。
この変換は、私が今回の検証で動くことを確かめた回避策で、作者の公式の手順ではありません。作者のファイルが直ったら、変換は要らなくなります。
2段階にする意味はあった?
5ステップなら Slow のみで十分でした。 作者が「安全な既定」と書いている方法です。
作者は、ノイズの多い前半を Slow、後半を Fast に分ける2段階を「本来の形」としています。ComfyUI では KSamplerAdvanced を2つつなぎます。
| ノード | LoRA | add_noise | 開始 | 終了 | return_with_leftover_noise |
|---|---|---|---|---|---|
| 1段目 | Slow | enable | 0 | 4 | enable |
| 2段目 | Fast | disable | 4 | 5 | disable |
どちらも steps 5、CFG 1.0、euler、simple です。ComfyUI 内で動かしていないという作者の注記の部分ですが、今回の6枚とシード3つの18本ではエラーなく動きました。
2つの結果を比べると、PSNR は 34.5〜41.2dB でした(6枚、シード 101、75 フレーム)。PSNR は差の小ささを表す値で、大きいほど近い映像です。並べると細部が少し違う程度で、毎回の優劣は付きませんでした。時間は Slow のみが 0.1 秒ほど短くなります。迷ったら Slow のみで始めてください。
50ステップとどのくらい違う?
6種類の画像で、同じシードの回転動画を比べました。写真風の2枚は P-H3-Image で作った AI 生成の画像で、撮影したものではありません。


| 題材 | Turbo 5ステップの見た目(シード 101) |
|---|---|
| ブーツ(写真風) | 正面はよく似ている。裏側は靴ひもがつぶれ、色が赤みを帯びる |
| ティーポット(写真風) | 形と模様は残る。裏の模様は薄くぼやける |
| ケーキ(イラスト) | 全体に滑らかになり、クリームの細かい凹凸が消える |
| 騎士(イラスト) | ポーズは保つ。鎧の線が減る |
| ホテル(テンプレート) | 建物は残るが窓が薄くなり、地面の裏側がざらつく |
| ガラス瓶(イラスト) | いちばん苦手。透明感と氷が消え、不透明な瓶になる |


実写風とレンダリング風で差はある?
写真風とイラストで、はっきりした差は見えませんでした。 違いが出たのは題材のほうで、透明なものと細い線が多いものは、50ステップとの差が目立ちました。撮影した写真は今回試していません。
素の Idol を5ステップにするよりいい?
見た目は明らかに良くなりました。CFG 3 の素の5ステップでは、ティーポットが黄色くなり、ブーツやガラス瓶の形が崩れます。前回の記事で5ステップを避けるよう書いたのは、この状態です。
一方、50ステップとの PSNR で比べると、Turbo は 21.6〜25.2dB、素の5ステップは 21.3〜25.2dB で差がありません。PSNR は細部がぼけても下がりにくい指標なので、この数字だけでは選べません。Idol 20 ステップは 22.7〜34.9dB です。
ステップ数を変えると?
Turbo は 4〜8 ステップが作者の想定です。Slow のみでティーポットを試しました(シード 101)。

| ステップ | サンプリング | 見た目 |
|---|---|---|
| 4 | 0.7秒 | 取っ手と注ぎ口の形が崩れた |
| 5 | 0.9秒 | 形が安定した |
| 8 | 1.5秒 | 模様は濃くなるが、裏側に濃い汚れが出た |
1枚とシード1つの結果なので、傾向の目安です。作者の推奨どおり、5 から始めてください。
公式値と比べると
| 項目 | 公式値(H200、SDK) | 今回の実測(RTX 5090、ComfyUI) |
|---|---|---|
| 5ステップのサンプリング | 約0.75秒 | 0.9〜1.0秒 |
| 4ステップ | 0.66秒 | 0.7秒 |
| 8ステップ | 約1.0秒 | 1.5秒 |
| 1,048,576 ガウシアン | ー | 全体 4.8秒(デコード 0.85秒) |
最初の1回だけは読み込みで長くなります。 モデルは USB の HDD に置き、ComfyUI を起動し直した直後の1回目は、読み込みを含めて約41秒(ログで 40.81秒)でした。2回目以降は上の時間です。公式値とは環境も経路も違うので、数字は目安として見てください。
ワークフローとファイル
- idol_turbo_2stage_workflow.jsonComfyUI にドラッグして読み込みます(Turbo 5 ステップ、Slow+Fast の 2 段階、CFG 1。カスタムノードは不要です。変換後の LoRA が必要です)

画面から実行して、成功を確かめました。ComfyUI を起動し直した直後の1回目で、読み込みを含めて 42 秒です。Slow のみにするときは、1段目だけを残して end_at_step を 5 に、return_with_leftover_noise を disable にしてください。
| ファイル | サイズ | 置き場所 |
|---|---|---|
| idol_turbo_slow_comfy.safetensors | 59MB | models\loras(変換が必要) |
| idol_turbo_fast_comfy.safetensors | 59MB | models\loras(変換が必要) |
| idol_fp16.safetensors | 741MB | models\diffusion_models |
| idol_decoder_fp16.safetensors | 576MB | models\vae |
| flux2-vae.safetensors | 336MB | models\vae |
| dino_v3_vit_h_bf16.safetensors | 1.68GB | models\clip_vision |
| birefnet.safetensors | 444MB | models\background_removal |
Idol 本体の導入は前回の記事にまとめています。
v0.44.0 で Idol が落ちる報告は?
ComfyUI の Issue #17533 に、Idol のワークフローで backend が落ちるという報告があります。報告のログでは、終了コードが 0xC000001D(CPU が実行できない命令)です。2026年11月5日の時点で開いたままで、コメントはありません。
今回の環境では再現しませんでした。 v0.44.0 のポータブル版で、Idol と Turbo を合わせて 170 回以上実行し、クラッシュは0回です。報告は Comfy Desktop の環境で、GPU も違う可能性があります。同じ症状なら、Issue を追ってください。
RTX 5090 以外の人へ
--reserve-vram 24 を付けて、Turbo と Idol 50ステップを試しました。ピークは次のとおりです。
| 設定 | 結果 | 全体(2本目以降) | VRAM ピーク(全体) |
|---|---|---|---|
| Turbo 5ステップ | 3本とも成功 | 2.0秒 | 6.4GB |
| Idol 50ステップ | 2本とも成功 | 17.4秒 | 7.2GB |
VRAM 容量が少ない環境を想定した簡易テストです。実際の 8GB 搭載 GPU での動作を再現・保証するものではありません。 使用量がもともと少ないので、この設定では差が出ませんでした。
Turbo は Idol 本体に小さな LoRA を足す形なので、必要なファイルは Idol とほぼ同じです。VRAM が足りないときの全般の対処はこちらにまとめています。
商用で使うときの条件は?
Idol Turbo は Apache-2.0 で、元の Idol も同じです。ただし Comfy-Org の Idol リパックには DINOv3 の重みが同梱されていて、そちらには DINOv3 License が適用されます。詳しくは前回の記事の節を見てください。今回も DINOv3 は同じファイルを使いました。
SDK の経路は、Hugging Face の DINOv3 と FLUX.2-dev のページでの同意が必要です。今回は SDK を動かしていないので、作者の比較画像と同じ条件の再現はしていません。
よくある質問(FAQ)
Q. Idol Turbo が ComfyUI で塊のようになります。なぜですか?
LoRA が読み込まれていない可能性が高いです。コンソールに lora key not loaded が出ていないか確かめてください。キーの先頭に diffusion_model. を足すと、v0.44.0 で読み込めました。
Q. 1回にどのくらいかかりますか?
RTX 5090 で全体約2秒、サンプリングは約1秒でした。最初の1回は読み込みがあるので長くなります。
Q. Slow と Fast の両方が必要ですか?
5ステップなら Slow のみでもほぼ同じ結果でした。今回の条件では差が小さく、迷ったら Slow のみで十分です。
Q. 50ステップの代わりになりますか?
確認用には使えます。細部は柔らかくなり、透明なものや細い線は差が目立ちました。仕上げには 20〜50 ステップを勧めます。
Q. CFG はいくつにしますか?
1.0 です。ガイダンスは LoRA に含まれているので、上げる必要はありません。
Q. ComfyUI v0.44.0 で Idol は落ちませんか?
今回は 170 回以上の実行で落ちていません。落ちる報告は Issue #17533 にあり、環境による可能性があります。
まとめ
- 配布の LoRA はそのままでは読み込まれません。
lora key not loadedが目印です。 - 変換すれば約2秒で動き、形と色は保ちます。細部は 50 ステップより柔らかくなります。
迷ったら、形の確認に Turbo の Slow のみ、仕上げに Idol の 20 ステップ。今回の結果からは、この使い分けが扱いやすいと感じました。
検証メモ
- 本数:6枚とシード3つで、Idol 5・20・50 ステップ、Turbo の2段階と Slow のみ、変換前の LoRA を実行しました。見た目はシード 101 の回転動画(75 フレームから4コマ)で比べ、ほかのシードは時間と PLY の保存だけです。
- 時間:表は騎士の画像で4回ずつ続けた値の中央値です。ほかの画像でも、Turbo 5ステップのサンプリングは 0.9〜1.1 秒でした。素の5ステップは別に測り、サンプリング 1.9 秒、全体 2.9 秒です。
- VRAM:
nvidia-smiの GPU 全体の値で、ほかのアプリの分を含みます。動作中の値で、待機中に戻らないモデルの分も入っています。 - PSNR:色と形の平均的な差を見る値で、裏側の出来を直接示すものではありません。
- 変換:キーの名前を足すだけで、重みの値は変えていません。読み込みは
lora key not loadedが出なくなったことと、結果が変わったことで確かめました。 - v0.43 以前:今回試したのは v0.44.0 だけです。古い版や今後の版でキーの扱いが同じかは未確認です。
- 未確認のこと:SDK、実際に撮影した写真、8GB などの実機の GPU、ビューアーでの細かい確認。
- 最初の1回の時間:別の測定で1回目が 371秒になった記録があります。同じ ComfyUI で直前に別の動画生成が動いており、ログ上の Idol の実行は 60.69秒でした。順番待ちを含んだ値と考えられますが、対応は確定できていません(未確認)。本文の約41秒は、起動し直した直後に画面から実行した値です。

