Qwen3.8-27Bをllama.cppのMTPで速くする設定【RTX 5090実測】

Qwen3.8-27BをMTPで速くする(llama.cpp・RTX 5090実測) PC・GPU環境

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紹介しているソフトとモデルは、すべて無料で入手できるものです。

Qwen3.8-27B は、Qwen が公開している 270億パラメータの言語モデルです。日本語も得意で、RTX 5090(VRAM 32GB)なら 4ビットの量子化版がまるごと VRAM に入ります。

llama.cpp には、モデルの中にある「先読み用の頭(MTP)」を使って、1回に何トークンかまとめて出す機能があります。オプションを1つ足すだけで動くので、RTX 5090 でどれくらい変わるかを測りました。

比べたのは、MTP あり・なしの速さ、先読みの数、Q6_K と 128k の場合です。機能そのものは新しくありません。llama.cpp の MTP 対応は2026年5月に入り(PR #22673)、Qwen3.8 の MTP 付き GGUF は8月に出ました。

先に結論(今回のテスト条件で)

Q4_K_M(16.5GB)で、MTP なし 78.3 トークン/秒 → MTP あり 141.7 トークン/秒(約1.8倍)でした。

llama-server の起動オプションに --spec-type draft-mtp を足すだけです。unsloth の GGUF には MTP の頭が入っていて、別のファイルは要りませんでした。

先読みの数(--spec-draft-n-max)は、2・3・5 の中では、既定の 3 がいちばん速かったです(4 と 6 は試していません)。

Q6_K(22GB)でも、MTP で 62.2 → 106.7 トークン/秒になりました。ただし、ほかのアプリで VRAM が約9GB 埋まっていたときは、入りきらずに 25.7 トークン/秒まで落ちました。

試した環境

項目内容
GPUNVIDIA GeForce RTX 5090(VRAM 32GB)
CPU / メモリAMD Ryzen 9 9950X3D / 128GB
OSWindows 11
ドライバNVIDIA 621.01
llama.cppb12002(公式の Windows 用 CUDA 13.4 版、2026-10-30)
モデルunsloth/Qwen3.8-27B-GGUF の UD-Q4_K_M・UD-Q6_K
確認した日2026年10月31日

測っている間は、ComfyUI など GPU を使うほかのソフトは止めました。

MTP は先の数トークンを予想して、まとめて確かめる

ふつうの LLM は、1回の計算で1トークン(文字のかたまり)ずつ文章を作ります。MTP に対応したモデルは、本体とは別に「この先の数トークンを予想する小さな頭」を持っています。

llama.cpp の draft-mtp は、この頭で先の数トークンを予想して、本体でまとめて確かめる方式です。予想が当たったぶんだけ一度に進むので、速くなる仕組み。外れた予想は本体が確かめて捨てるので、でたらめな文章にはなりません(llama.cpp の公式ドキュメント)。

必要なファイル

ファイルサイズメモ
Qwen3.8-27B-UD-Q4_K_M.gguf16.46GB今回のおすすめ。RTX 5090 なら 128k でも VRAM に入った
Qwen3.8-27B-UD-Q5_K_XL.gguf20.88GB今回は試していない
Qwen3.8-27B-UD-Q6_K.gguf21.98GB32k なら入った(ほかのアプリを閉じた状態)
Qwen3.8-27B-Q8_0.gguf29.05GB今回は試していない。32GB では余裕がない
MTP/mtp-Qwen3.8-27B-Q4_0.gguf1.37GBMTP の頭だけのファイル。今回の GGUF では不要だった

llama.cpp は 公式のリリースページ から、Windows の CUDA 版(llama-b〇〇〇〇-bin-win-cuda-13.4-x64.zip)と、同じページの cudart-llama-bin-win-cuda-13.4-x64.zip の2つを落として、同じフォルダに展開します。

起動のしかた

コマンドプロンプトで、llama.cpp を展開したフォルダに移動して、次のように起動します。違いは最後の --spec-type draft-mtp だけです。

rem MTP なし
llama-server.exe -m Qwen3.8-27B-UD-Q4_K_M.gguf -ngl 99 -fa on -c 32768 --port 8080

rem MTP あり
llama-server.exe -m Qwen3.8-27B-UD-Q4_K_M.gguf -ngl 99 -fa on -c 32768 --port 8080 --spec-type draft-mtp
  • -ngl 99:モデルを全部 GPU に載せる
  • -fa on:Flash Attention(速くて省メモリな計算方法)を使う
  • -c 32768:コンテキスト(一度に扱える長さ)を 32k トークンにする
  • --spec-type draft-mtp:モデルの中の MTP の頭で先読みする

起動したら、ブラウザで http://127.0.0.1:8080 を開くとチャット画面が使えます。OpenAI 互換の API にもなるので、Hermes Agent や Claude Code からもつなげます。

RTX 5090 での速さ(実測)

日本語の説明・英語のコード・日本語の手順説明の3種類の指示で、それぞれ 512 トークン出すのにかかった速さを測りました。温度 0(毎回同じ答えになる設定)で、2回目以降の平均です。

設定(Q4_K_M・32k)生成の速さ(トークン/秒)MTP なしと比べて先読みが当たった割合VRAM 最大
MTP なし78.31.00倍—18.2GB
MTP あり(先読み 2)135.11.73倍67%20.0GB
MTP あり(先読み 3=既定)141.71.81倍57%20.6GB
MTP あり(先読み 5)124.61.59倍37%21.8GB
MTP あり(頭を別ファイルで指定)145.71.86倍56%21.4GB

「先読みが当たった割合」は、予想したトークンのうち、本体の確認で採用されたものの割合です。コードの指示のほうが当たりやすく、速くなりました(指示ごとの値は下の表)。

先読みの数について、Unsloth の説明は、1〜6 を試して自分の環境でいちばん速い値を選ぶ、です。第三者の note の報告(WSL2、UD-Q5_K_XL、各1回)では、2・3・4・6 の中で 3 がいちばん速かったとあります。環境が違うので、速さの数字は並べません。

指示MTP なしMTP あり(先読み 3)当たった割合
日本語の説明78.8123.846%
英語のコード77.7160.770%
日本語の手順78.3140.758%

Q6_K と長いコンテキスト

設定生成の速さ(トークン/秒)VRAM 最大
Q6_K・32k・MTP なし62.223.1GB
Q6_K・32k・MTP あり106.725.4GB
Q6_K・16k・MTP あり106.624.4GB
Q4_K_M・128k・MTP あり・KV キャッシュ q8_0118.923.8GB

同じ Q6_K・32k・MTP なしでも、壁紙アプリなどで VRAM が約9GB 埋まっていたときは 25.7 トークン/秒しか出ませんでした(アプリを閉じると 62.2)。最初に測ったのがこの状態で、Q4_K_M も MTP なし 59.7、MTP あり 108.4 トークン/秒止まりでした。

VRAM がいっぱいになると、Windows が足りないぶんを PC のメモリ(共有 GPU メモリ)に逃がすため、急に遅くなります。速さが急に落ちたら、ほかのアプリを閉じるか、コンテキストを短くするか、ひとつ小さい量子化にしてください。

-ctk q8_0 -ctv q8_0 は、会話の履歴を置く KV キャッシュを 8ビットにして VRAM を節約するオプションです。

MTP が効かない・遅くなるときのチェック

  • 速さがまったく変わらないときは、その GGUF に MTP の頭が入っていない可能性がある。-md で MTP のファイル(MTP フォルダの GGUF)を指定する
  • VRAM があふれていないか。MTP は約2GB 余分に使う(Unsloth の説明)。今回の実測では、既定の先読み3で約2.4GB 増えたので、ぎりぎりのときは遅くなる
  • llama.cpp が古くないか。--spec-type がないと言われたら新しい版にする
  • 温度を高くすると先読みが外れやすくなる。速さを比べるときは温度 0 で比べる

RTX 5090 以外の人へ

今回は RTX 5090 だけで測りました。ほかの GPU の速さは測っていません。目安になるのは「モデルのファイルサイズ+コンテキストのぶん+MTP のぶん(約2GB。今回の先読み3では約2.4GB)が VRAM に入るか」です。

VRAM目安(筆者の見立て)
32GB(RTX 5090)Q4_K_M なら 128k でも入った(実測 23.8GB)
24GBQ4_K_M(16.5GB)+短めのコンテキストなら入る計算。実測はしていない
16GB 以下Q4_K_M は入りきらない。IQ3 系(11〜12GB)など、もっと小さい量子化を選ぶ。実測はしていない

GPU とメモリの選び方は ComfyUI に必要な PC スペック でも説明しています。LLM と画像生成を同時に動かすときの VRAM の取り合いは ComfyUI と LM Studio を同時に使う を見てください。

よくある質問(FAQ)

Q. llama.cpp の MTP はどう使いますか?

llama-server の起動オプションに --spec-type draft-mtp を足します。MTP の頭が入った GGUF なら、それだけで動きます。

Q. Qwen3.8-27B は RTX 5090 で何トークン/秒出ますか?

今回の条件(Q4_K_M・32k・llama.cpp b12002)では、MTP なしで 78.3、MTP ありで 141.7 トークン/秒でした。

Q. MTP を使うと答えの中身は変わりますか?

同じ文章になるとは限りません。先読みした内容は本体が確かめてから採用しますが、筆者の測定では、同じ指示でも日本語の説明の出力が 972 トークンから 793 トークンに変わりました。繰り返しなどの崩れは、どの条件でも出ていません。

Q. MTP 用のファイルは別に必要ですか?

unsloth の Qwen3.8-27B の GGUF では不要でした。MTP の頭が入っていない GGUF のときは、MTP フォルダのファイルを -md で指定します。

Q. Qwen3.8-27B に必要な VRAM は?

Q4_K_M のファイルは 16.46GB で、32k のコンテキストと MTP を足すと、RTX 5090 で VRAM を 20.6GBほど使いました(GPU 全体の使用量。Windows の画面表示などのぶんを含む)。

Q. LM Studio でも MTP は使えますか?

今回は llama.cpp 単体でだけ試しました。LM Studio での設定は確かめていません。LM Studio の Bionic の変更履歴(Bionic 1.1.3、2026年9月17日)に「MTP speculative decoding for more compatible models」という項目があります。Qwen3.8 で使えるか、設定方法は未確認です。

まとめ

Qwen3.8-27B は、llama.cpp に --spec-type draft-mtp を足すだけで、RTX 5090 で 78.3 → 141.7 トークン/秒(約1.8倍)になりました(今回のテスト条件で)。出力の長さが変わることはありましたが、繰り返しなどの崩れは出なかったので、Qwen3.8 を llama.cpp で使うなら、つけておいて損はない設定です。

この記事の検証環境

RTX 5090(32GB)/ RAM 128GB / Windows 11 / llama.cpp b12002(CUDA 13.4)/ unsloth Qwen3.8-27B UD-Q4_K_M・UD-Q6_K / 2026-10-31
これまでの検証の一覧はこちら

検証メモ

  • 同時に使う数:-np(--parallel)は指定していません(llama.cpp の標準は自動)。起動ログのスロット数は 4(n_slots = 4)で、測定は1回に1つの質問だけを送りました。
  • 複数の質問を同時に処理するとき:MTP 対応の PR(#22673)には「並列実行の MTP は対応済みだが、まだ十分に最適化されていない」という注記があります。この使い方では速さが変わる可能性があり、今回は測っていません。
  • 当たった割合の計算:全体の割合は、予想した総数に対して当たった数で計算しています(指示ごとの割合の単純平均とは少し違います)。
  • 別の指示で測り直した値:同じ日の夜に、指示4種類(日本語3・英語コード1)、最大 1024 トークン、ほかのアプリを閉じた状態で測り直しました。Q4_K_M の MTP なしが約74〜77、MTP ありが日本語で約113〜132、英語コードで約184〜189 トークン/秒でした。指示が違うので本文の表とは並べません。このとき Q8_0(MTP なし)も動かし、約48〜49 トークン/秒でした。

参考にした公式資料

この記事を書いた人
こまたろ

画像生成 AI に興味を持ったのがきっかけで、3年ほど前から ComfyUI を触っています。始めたころは今ほど情報がそろっておらず、何時間もかけて整えた環境が翌日のアップデートで動かなくなったこともありました。

KOBO Lab は、自分の学び直しと、これから ComfyUI を始める人が同じところでつまずかないようにと思って始めたサイトです。初心者も中級者も、迷ったときに開くサイトを目指しています。

検証は、RTX 5090 を積んだ自作 PC 1台で、実際に動かして確かめています。作業を楽にするための自作ツールも作っています。

記事は、運営者自身の経験と検証をもとに、Claudeで下書きを作り、GrokボットとMuseでも添削や確認をして仕上げています。

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