LM Studio Bionic(以下 Bionic)は、LM Studio で落としたモデルをそのまま使って作業を任せられるAIエージェントのアプリです。チャットで質問に答えるだけでなく、ファイルを作ったり、コードを直したり、コマンドを実行したりできます。発表は 2026年7月16日、開発元は LM Studio と同じです。
この記事では、Bionic の特徴と LM Studio との違い、無料のローカルモデルで使った結果をまとめます。新しいアプリで変化が速いので、2026年10月29日時点・Windows 版 1.1.9 の情報です。版の補足は末尾の「検証メモ」にあります。
結論:LM Studio のモデルをそのまま使える「作業をしてくれるAI」
- Bionic は LM Studio とは別のアプリです。LM Studio でダウンロード済みのモデルは、Bionic からそのまま選べました(再ダウンロード不要)。
- ローカルモデルなら、アカウントなし・クレジット消費なしで使えます(公式ドキュメントより)。クラウドのモデルを使うときだけ、アカウントと有料のクレジットが必要です。
- 今回検証した LM Studio 0.4.25 の環境では、同時には起動できませんでした。LM Studio が動いていると、Bionic(1.1.9)は「Bionicを起動する前にLM Studioを終了してください。」と表示して起動しませんでした。その後、公式の変更履歴によると、LM Studio 0.4.26(Build 3)以降と Bionic 1.1.8 以降の組み合わせなら同時に使えるようになっています(2026年10月30日確認。筆者は未検証)。
ウィンドウを閉じてもタスクトレイに残り、モデルも VRAM に残ったままでした。使い終わったらトレイから終了してください。
LM Studio と Bionic の違い
| LM Studio | LM Studio Bionic | |
|---|---|---|
| 主な用途 | ローカルLLMのダウンロード、チャット、API サーバー | コーディングや文書作成などの作業を任せるエージェント |
| 使えるモデル | ローカル | ローカル/クラウド/別のPC(LM Link) |
| ファイル操作・コマンド実行 | なし | あり(承認の設定あり) |
| モデルの保存場所 | 同じフォルダーを共有(今回の環境で確認) | |
| 同時起動 | LM Studio 0.4.26(Build 3)以降+Bionic 1.1.8 以降なら可(公式の変更履歴)。今回の LM Studio 0.4.25 では不可(実測) | |
公式の説明では、細かい設定をしたいときは LM Studio を併用すればよい、とされています。
Bionic でできること(公式情報)
- コーディング:作業フォルダーのコードを検索・編集し、Git やシェルのコマンドも実行できます。
- 文書作成:文書、PDF、スライド、表計算ファイルを扱えます。変更は自動で保存され、元に戻すこともできます。
- Skills と音声入力:Skills は決まった手順を覚えさせて繰り返し使う機能です(2026年8月17日に追加)。音声の文字起こしは PC の中で処理されます。
モデルの選び方とお金のかかり方
| 種類 | どこで動くか | 料金 |
|---|---|---|
| ローカル | 自分の PC | クレジット消費なし。アカウントも不要 |
| リモート(LM Link) | 自分の別の PC | クレジット消費なし |
| クラウド | LM Studio のサーバー | アカウントとクレジットが必要(料金表は公式ドキュメントに記載なし) |
公式は、クラウドで処理したデータは保存しない(Zero Data Retention)としています。今回はクラウドのモデルは使わず、ローカルモデルだけで試しました。
インストールと最初の設定
- 公式サイトから Windows 版(x64)をダウンロードしてインストールします。インストーラーは約768MB でした。
- LM Studio を起動している場合は、タスクトレイから終了します。
- Bionic を起動します。


ローカルモデルを選ぶ
設定の「ローカルモデル」には、探索(ダウンロード)、ライブラリ、読み込み済みのインスタンス、ローカルモデル API、デフォルト設定、ランタイムの項目があります。LM Studio でダウンロード済みのモデルはライブラリにそのまま出てきました。今回は GPT OSS 20B を使いました。


プロジェクトを作る
「新しいプロジェクトを作成」の画面で入れるのは、プロジェクト名と作業ディレクトリ(任意)だけでした。公式ドキュメントには「Allow coding」という切り替えが書かれていますが、1.1.9 の画面にはありませんでした。代わりに「コードの実行権限をセッションごとに設定できるようになりました」というお知らせが表示されます。

コマンドの承認モード
| モード | 動き |
|---|---|
| オフ | シェルコマンドを許可しない |
| 毎回確認 | コマンドを実行するたびに確認 |
| 自動レビュー(初期値) | エージェントがコマンドをレビュー |
| すべて許可 | エージェントにすべてのコマンドの実行を許可 |
公式ブログによると、自動レビューは、安全と判断できるコマンドはそのまま実行し、判断できないものは別の AI が危険度を確かめ、危険すぎるものは実行しない仕組みです。ただし公式も「サンドボックスの代わりにはならない」「プロンプトインジェクションは完全には防げない」と書いています。大事なフォルダーで使うときは、毎回確認を選ぶと安心です。

実際に作業を頼んでみた
ローカルの GPT OSS 20B で、承認モードは「毎回確認」にして、次の作業を頼みました。
| 作業 | 結果 | かかった時間 |
|---|---|---|
| 見出しと「今日の日付」ボタンだけの index.html を作る | ほぼ成功。日付はページではなくポップアップ(アラート)に時刻つきで出た | 約10秒 |
| 売上の CSV を分類ごとに集計し、Markdown の表にまとめる | 成功。金額はすべて正解と一致(電子機器 17,900円、食品 11,480円、文具 4,890円、合計 34,270円)。ただし日本語で頼んだのに、説明文は英語だった | 約18秒 |
| 平均を計算する Python スクリプトのバグを直す | 成功。修正後に自分で実行し、「平均: 25.0」と正しく出た | 数秒(承認待ちの時間を除く) |

ファイルの書き込みはシェルのコマンドを使わないため、「毎回確認」にしていても承認は求められませんでした。承認モードはコマンドの実行に対するもので、ファイルの作成・編集は止まらない点に注意してください。
Python の修正では、Bionic が自分で python average.py を実行して確かめようとしました。このとき「毎回確認」にしていても、最初のコマンドで「エージェントにシェルコマンドの実行を許可しますか?」という画面が出て、「自動レビュー(推奨)」「手動レビュー」「いいえ」から選ぶよう求められました。手動レビューを選ぶと、続けて「作業ディレクトリ:L:\kobo_dl\bionic-test2 python average.py を実行しますか?」と確認されます。
筆者の監視スクリプトはこの画面を見つけられず、約5分そのまま待たせてしまいました。Bionic の表示は「5m39s作業しました」ですが、実際の作業は修正が1秒、承認のあとが2.4秒です。


VRAM の使い方に注意
Bionic は GPT OSS 20B をコンテキスト長 131,072 で読み込み、VRAM の使用量は 2.1GB から 17.0GB に増えました。ウィンドウを閉じてもアプリはタスクトレイに残り、モデルも VRAM に残ったままでした。ComfyUI など GPU を使うアプリと一緒に使うときは、Bionic をトレイから終了してください。VRAM の取り合いについてはComfyUI と LM Studio の記事で詳しく測っています。
もう1つ、LM Studio を終了したあとに lms ps を実行したところ、LM Studio が起動し直しました。Bionic を開く前に、もう一度終了し直しています。
まだ試していないこと
クラウドのモデルは、有料のクレジットが必要なので使っていません。LM Link で別の PC のモデルを使う方法、Skills と音声入力も未確認です。
Mac 版も試していません(Bionic の公式の変更履歴には macOS 版についての記載があります。この記事の検証は Windows 版だけです)。
よくある質問(FAQ)
Q. 無料で使えますか?
公式ドキュメントによると、ローカルモデルと LM Link のモデルはクレジットを消費せず、アカウントなしで使えます。クラウドのモデルを使うときだけクレジットが必要です。
Q. LM Studio と同時に使えますか?
公式の変更履歴によると、LM Studio 0.4.26(Build 3)以降と Bionic 1.1.8 以降なら同時に使えます。筆者が試した LM Studio 0.4.25 の環境では使えず、Bionic は終了を求めるダイアログを出して起動しませんでした(新しい組み合わせでの動作は未検証です)。
Q. 日本語で使えますか?
今回の環境では、画面は日本語で表示されました(アプリの言語はシステムのデフォルトに従います)。日本語の依頼にも応えましたが、CSV の集計では説明文が英語で返ってきました。答えの質は選んだモデル次第です。
検証メモ
- 版:Bionic 1.1.9・LM Studio 0.4.25 は検証時点の版です。2026年10月30日に確認した最新は LM Studio 0.4.27、Bionic 1.1.10 で、最新版での動作は未確認です。
- 作業の回数:表の3つの作業は1回ずつです。Python の修正を頼むときは、1回目は筆者のスクリプトの不具合で入力欄に文字が入らず、送り直しました。
- VRAM:17.0GB は最初の作業のときの値です。Python の修正のときは最大 26,423 MiB を記録しましたが、別の ComfyUI の分を含むとみられるので、記事の計測値にしていません。
参考にした公式情報
- LM Studio Bionic 公式サイト
- LM Studio Bionic ドキュメント
- Introducing LM Studio Bionic(2026年7月16日)
- How Auto Review works in Bionic
- Understand Credits and Usage
- LM Studio 0.4.26 の変更履歴(Bionic との同時起動、2026年10月30日確認)
- Bionic 1.1.8 の変更履歴(2026年10月30日確認)

