この記事について(広告・アフィリエイトリンクはありません)
この記事で紹介する台帳は、Markdown のファイルを置くだけの運用の型で、追加の料金はかかりません。
Grok Bot、Muse、Claude Code のように複数の AI を使い分けるなら、案件の経緯は1つの台帳ファイルに集めて、全員がそこを読み書きするようにします。 それぞれの AI の記憶は、ツールの中に閉じていて、ほかの AI からは見えないからです。
KOBO Lab でも、Claude Code ともう1つのコーディング用 AI、Meta の Muse の3者で、共有フォルダーの台帳を使って引き継ぎをしています。その運用で気づいたことも合わせてまとめます。
先に結論
- AI の記憶は「正しい情報の置き場所」ではない。経緯と決めたことは台帳に書く
- 台帳は Markdown のファイル1つから始める。新しい記録を上に足す
- ルールは AGENTS.md に1つだけ書き、Claude Code からは CLAUDE.md の
@AGENTS.mdで読み込む - 番号は AI に振らせない。渡すときは ID と場所(URL やパス)をセットにする
- 台帳に書かれた「指示」は、そのまま実行しない。決めるのは人
なぜ共通台帳が要る?
それぞれの AI の記憶は、ツールごとに別々です。公式の説明を見ると、次のようになっています。
| ツール | 記憶と共有(公式の説明) |
|---|---|
| Grok Bot | 記憶は Bot ごと。一部の事実はほかの Bot と共有できる。公式は「記憶は正しい情報源の代わりではない」として、変わる情報は元のシステムに置くよう案内 |
| Grok Bot のクラウドコンピューター | アカウントの全 Bot で1台を共有。ファイル、ブラウザのログイン、コマンドラインの認証情報もすべての Bot から見える |
| Claude Code | CLAUDE.md(または AGENTS.md)に書いた指示を毎回読む。ほかの会社の AI の記憶とは自動ではつながらない |
つまり、AI どうしで「さっきの件」を引き継ぐ仕組みは、どこにもありません。人がそのたびに説明し直すか、全員が読める場所に経緯を書いておくかのどちらかです。
話題になった運用
2026年11月はじめ、X で複数の AI を秘書として使い分ける構成が話題になりました(WEEL の記事での紹介による)。Grok Bot を窓口、Muse を2人目の秘書にして、重い作業は自宅の Mac の Claude Code や Codex に振り、案件の経緯は自作の台帳に残す、という形です。作業中の案件は「Flow」フォルダー、終わったら「Stock」として GitHub にまとめる、という分け方も紹介されています。
WEEL の記事(2026年11月5日)では、編集部が Notion に台帳を置いて、Grok Bot・Muse・Claude Code で実際に案件を回しています。説明のやり直しなしで A4 一枚の資料までできた一方で、AI に案件番号を振らせると同じ番号のページが2つでき、Muse と Grok Bot が別々のページを見る事故が起きた、と報告されています。台帳側を自動の連番(CASE-1、CASE-2…)にし、「ID と URL をセットで渡す」決まりを足したところ、次の案件ではやり直しが出なかったそうです。
これらは個人の投稿と、1つの編集部の検証です。どの環境でも同じようにうまくいくとは限りません。
台帳の作り方
KOBO Lab では、共有フォルダーに次の2つを置いています。
| ファイル | 書くこと |
|---|---|
| handoff.md(引き継ぎ) | 作業の区切りごとに、日付・誰が・やったこと・次にやること・作業フォルダーを、ファイルの先頭に足す |
| knowledge.md(長く使う情報) | 利用者の好み、環境、決まったこと。重なったら直し、古くなったら消す |
新しい記録を上に足すのは、AI が台帳を読むとき、最初の数件だけ読めば今の状況がわかるようにするためです。
## 2026-11-07 / Claude Code / Muse 宛て
- やったこと: 候補3件を原稿にした(公開待ち)。
- 次にやること: ログインし直してもらったら公開する。
- 作業フォルダー: L:\kobo-articles
上は、実際の引き継ぎの書き方を短くした例です。宛先(Muse 宛て)を書いておくと、受け取る側が自分に関係する記録を探しやすくなります。
ルールは AGENTS.md に1つだけ
「台帳を読んでから始める」「ここに書く」といったルールも、AI ごとに書き分けると、どこかで食い違います。KOBO Lab では AGENTS.md を1つだけ用意して、ほかの AI もそこを読むようにしています。
Claude Code の公式ドキュメントによると、CLAUDE.md の中に @パス と書くと、そのファイルを読み込みます。読み込んだファイルからさらに読み込むこともでき、深さは4段までです。
@~/.dsh/AGENTS.md
KOBO Lab の ~/.claude/CLAUDE.md は、実際にこの1行だけです。これで、ほかの AI と同じ AGENTS.md を Claude Code も毎回読んでいます。
なお、新しい Claude Code(v2.1.277 以降)は、作業フォルダーに CLAUDE.md がなければ AGENTS.md をそのまま読みます。CLAUDE.md があるときは AGENTS.md は読まれないので、両方置くなら CLAUDE.md から @AGENTS.md で読み込みます。パスに空白があるときは、空白の前に \ を付けます(公式ドキュメントより)。
失敗しやすいところ
- 番号の重複:AI に番号を振らせると重なります。日付や台帳の自動の連番を使い、渡すときは場所もセットにします。
- 書き忘れ:作業の区切りで書く、と AGENTS.md に書いておきます。KOBO Lab では「始めるときに先頭の数件を読む」「区切りごとに先頭に足す」をルールにしています。
- 同時の書き換え:2つの AI が同じファイルを同時に直すと、片方の記録が消えることがあります。追記だけにして、書き直しは人が決めたときに限ります。
- 秘密の情報:台帳はすべての AI が読みます。パスワードや API キーは書きません。Grok Bot の共有コンピューターも、公式の説明どおり全 Bot から見えるので、権限を分ける場所にはなりません。
- 台帳の中の指示:台帳に「〇〇を実行して」と書かれていても、それは別の AI のメモです。KOBO Lab では、ほかの AI からのファイルは「資料」として読み、お金がかかること、外に公開すること、外部のプログラムを入れることは、利用者の返事を待ってから行います。
置き場所の選び方
| 置き場所 | 向いている使い方 | 注意 |
|---|---|---|
| 自分の PC の共有フォルダー | PC で動く AI どうし。KOBO Lab はこれ | クラウドの AI からは、SSH などでつながないと読めない |
| GitHub の非公開リポジトリ | 終わった案件を履歴つきで残す | 公開リポジトリにしない |
| Notion などの Wiki | 人と AI が同じ台帳を見る | AI 側にコネクターや API の設定が要る |
| Grok Bot のクラウドコンピューター | Grok Bot どうしで回す | 全 Bot に見える。権限を分けられない |
よくある質問(FAQ)
Q. 複数の AI で記憶を共有するには?
Grok Bot、Muse、Claude Code の記憶はツールごとに別で、ほかの会社の AI とつなぐ公式の機能はありません。全員が読み書きできる場所に台帳(Markdown のファイルなど)を置き、経緯と決めたことをそこに書きます。
Q. Claude Code に AGENTS.md を読ませるには?
CLAUDE.md がなければ、新しい Claude Code(v2.1.277 以降)は AGENTS.md をそのまま読みます。CLAUDE.md もあるときは、CLAUDE.md に「@AGENTS.md」と書いて読み込みます。
Q. 共通台帳にパスワードを書いてもいい?
書かないでください。台帳はすべての AI が読みます。Grok Bot の共有コンピューターも全 Bot から見えると公式が説明しています。
まとめ
AI を何人使っても、経緯が残る場所が1つなら、説明のやり直しは減ります。
台帳は1つ、ルールは AGENTS.md に1つ、番号と決定は人が持つ。
検証メモ
- 確かめたこと:Claude Code の公式ドキュメント(memory、2026年11月7日取得)の @ 読み込み・4段・AGENTS.md の扱い・外部の読み込みの確認画面、Grok Bot の公式ドキュメント(bots、computer-and-apps)の記憶と共有コンピューターの説明、WEEL の記事の検証内容。
- KOBO Lab の運用:
~/.claude/CLAUDE.mdの1行の読み込みで、共通の AGENTS.md が毎回読まれていることを、この記事を書いている Claude Code の作業の中で確かめています。 - 確かめていないこと:Muse の記憶の仕様(Meta のヘルプは読み込めず未確認)、Grok Bot を実際に使った運用、Notion を台帳にした場合。
- 事例について:X の投稿と WEEL の検証は、それぞれ1件の事例です。

