結論
・2026年10月31日(JST 17時ごろ)に公開されました。アプリは0.2.9、エンジンとControlは0.1.55です。
・取り上げる変更は2つです。DeepSeekの1ビット版(UD-IQ1_S・UD-IQ1_M)を選べるようになりました。Strix Halo(Windows)では、入力の処理が8Kトークンで約1.8倍、32Kトークンで約1.9倍になりました。
・筆者のRTX 5090では、Q2_0は速くなりませんでした。起動してから使えるまで約11分かかりました。
・前のバージョンに戻すときはstrata components rollbackを使います。
本家の v0.2.10 が2026年11月3日(JST)に公開されました。当サイトでは未検証です。主な変更点は公式リリースノートを見てください。
Strata の概要と、必要なスペック・入れ方は、Strataとは?必要スペックと導入手順はこちらにまとめています。
2026年10月31日(JST 17時ごろ)に、Strata v0.2.9が公開されました。アプリが0.2.9、エンジンと管理ツール(Control)が0.1.55です。
この記事では、リリースノートの中から次の2つを取り上げます。ほかの変更は、リリースノートの全文を見てください。
変更点1:DeepSeekの1ビット版を選べるようになった
Unsloth(量子化モデルを公開しているチーム)が作ったDeepSeekの1ビット版、「UD-IQ1_S」と「UD-IQ1_M」を、セットアップと strata launch で選べるようになりました。
用語メモ:1ビット版=モデルの数値を、平均して約1ビット台まで小さくした量子化版。ファイルは小さくなりますが、そのぶん精度は下がりやすくなります。
- リリースノートでは、ダウンロードの大きさは UD-IQ1_S が241GB、UD-IQ1_M が258GB とされています。ISTAのEngramファイルをすでに持っていれば、約111GB少なくなります。
参考:Hugging Face の Unsloth のリポジトリ(unsloth/DeepSeek-V4.1-Flash-1017-GGUF)で、UD-IQ1_S と UD-IQ1_M のフォルダを合計すると、約233.0GB と約250.4GB でした(GB は10の9乗バイト。2026年11月1日に確認)。リリースノートとの約8GBの差が何のファイルかは、書かれていないため未確認です。 - 標準の量子化(ISTA-DAS 2.25)は変わらない
リリースノートには、標準のISTA-DAS 2.25と比べた結果も載っています。どれも開発者の環境での1回ずつの測定です。
| 項目 | UD-IQ1_S | UD-IQ1_M | ISTA-DAS 2.25 |
|---|---|---|---|
| 61問のテスト | 53問 | 53問 | 56問 |
| 基準モデルとの一致率(Top-1) | 87.2% | 88.8% | 87.4% |
また、1ビット版はWindows(NVIDIA・AMD)とStrix Haloではテストしていないと明記されています。Windowsで使う場合は、その点を知っておいてください。
変更点2:Strix Haloで入力の処理が速くなった
AMDのRyzen AI Max(Strix Halo)をWindowsで使った場合に、プロンプト(入力)の処理が速くなりました。リリースノートの数値は次のとおりです。
| Qwen3.8(IQ3_S)、Strix Halo、Windows | 0.2.8 | 0.2.9 |
|---|---|---|
| 8Kトークンの入力 | 791 tok/s | 1,424 tok/s |
| 32Kトークンの入力 | 778 tok/s | 1,460 tok/s |
| 文章の生成 | 57.4 tok/s | 58.9 tok/s |
入力の処理は、8Kトークンで約1.8倍(1,424÷791)、32Kトークンで約1.9倍(1,460÷778)になりました。一方、文章の生成は約3%の差で、開発元は「ふだんのばらつきの範囲内」としています。
用語メモ:Strix Halo=AMDのRyzen AI Maxシリーズの開発名。CPUとGPUが大きなメモリを共有するのが特徴です。
なお、このStrix Haloの高速化は、Windowsで使うAMDのRyzen AI Max向けの変更です。NVIDIAのGPUを使ったWindows PCは、今回の主な高速化の対象ではありません。
Windows の RTX については、リリースノートの検証の節に、RAM 64GB のPCで更新と起動を確かめたものの「We did not time it.」(時間は測っていない)とあります。既定の設定では RAM をほぼ使い切って開発元の安全制限で止まり、そのPCでの既定の設定は未テストとのことです。
Linuxの高速化も、リリースノートに書かれています。NVIDIAのカードでは、8リクエスト同時のときに0.2.8の1.45倍(RTX PRO 5000、Qwen3.8 IQ3_S)、1リクエストだけなら5.3%速くなりました。入力の処理も、Linuxでは約2〜6%速くなっています。この2つについて、リリースノートには Windows、Mac、Intel、DeepSeek は変わらないと書かれています。
参考:DGX SparkとRX 9070 XTの比較
Xでは、v0.2.9の直前のエンジン(0.1.54)で、DGX Spark相当のPC(GB10)とRadeon RX 9070 XTを比べた投稿がありました。X の投稿者が報告した数字で、筆者は確かめていません。投稿者によると、モデルはQwen3.8-Flash-Next(IQ3_S、思考オン)、各条件3回の中央値です。
| 条件 | GB10 | RX 9070 XT |
|---|---|---|
| 短文の生成速度 | 51.3 tok/s | 77.9 tok/s |
| 16K入力の処理速度 | 1,940.9 tok/s | 785.6 tok/s |
| 16K入力の出力開始までの時間 | 8.49秒 | 20.89秒 |
入力の処理と出力が始まるまでの早さはGB10、文章の生成速度はRX 9070 XTが上、という結果です。ただし投稿者自身が、「ベンチを取って画像を作っている間にStrataの更新が来たので、参考程度に」と書いています。v0.2.9では結果が変わる可能性があります。
筆者の環境で更新した結果
筆者の環境(RTX 5090/RAM 128GB/Win11)で、v0.2.8からv0.2.9に更新して試しました。更新はターミナルの strata update で行い、署名とSHA256(ファイルが改ざんされていないかを確かめる値)が一致することを確認しました。エンジンは0.1.54から0.1.55へ。
更新は約4分。途中で新しいエンジンを試験起動し(モデルの読み込み155秒)、1トークン答えるのを確かめてから切り替わります。
Qwen3.8-Flash-NextのQ2_0を、前回と同じ条件で動かした結果です。
| 条件 | v0.2.8 | v0.2.9 |
|---|---|---|
| 短い会話(3回) | 177.5/222.5/202.3 tok/s | 144.6/196.9/217.6 tok/s |
| 約4,600トークンの入力(3回) | 204.1/221.2/220.5 tok/s | 181.5/195.1/192.1 tok/s |
筆者のRTX 5090のPCでは、v0.2.9に更新しても、速くはなりませんでした。約4,600トークンの入力の出力は、前回より約1割低い結果です。上で書いたとおり、今回の高速化の中心はStrix HaloとLinuxで、この結果とは矛盾しません。起動してから使えるまで約11分かかりました。エンジンのログの「loaded 31.64 GiB at 0.12 GiB/s」は experts.bin を読み込んだときの数字で、計算すると約4.4分(31.64÷0.12)です。全体の約11分はこれより長くなります。
前のバージョンへの戻し方
元のバージョンに戻したいときは、strata components rollback でエンジンを0.1.54に戻せます(管理ツールは0.1.55のまま)。
量子化の選び方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
関連記事:量子化の選び方
よくある質問(FAQ)
Q. v0.2.9 では何が変わりましたか?
この記事で取り上げるのは2つです。DeepSeek の1ビット版(UD-IQ1_S・UD-IQ1_M)を選べるようになりました。Strix Halo(Windows)では、入力の処理が8Kトークンで約1.8倍、32Kトークンで約1.9倍になりました。
Q. NVIDIA の GPU を使った Windows PC でも速くなりますか?
筆者の RTX 5090 では、Q2_0 は速くなりませんでした。リリースノートでも、今回の高速化の中心は Strix Halo と Linux です。
Q. 前のバージョンに戻せますか?
strata components rollback でエンジンを0.1.54に戻せます。管理ツールは0.1.55のままです。
検証メモ
Q2_0 の測定条件:Strata v0.2.9、コンテキスト128K、同時4スロット、MTP あり、思考オフ(reasoning_effort none)、temperature 0、ウォームアップ1回は記録外です。短い会話(入力27トークン)と長めの入力(約4,600トークン)を各3回測りました。32K の倍率は 1,460÷778=1.88倍で、本文では約1.9倍と書いています。
比較は各3回だけで、短い会話は回ごとの差が大きい結果でした(v0.2.9 で144.6〜217.6 tok/s)。約4,600トークンの入力の読み込みは、v0.2.9 が 5,763/5,480/5,861 tok/s、v0.2.8 が 6,213〜6,294 tok/s です。筆者は strata components rollback を実行していません。戻せるという記述はリリースノートと更新時の表示によるものです。
本文の記述と区分・出どころです(出どころの「—」は、本文に資料名が書かれていないもの)。
| 節 | 記述 | 区分 | 出どころ |
|---|---|---|---|
| 冒頭 | v0.2.9の公開(アプリ0.2.9、エンジンと Control 0.1.55) | 公式の資料 | — |
| 変更点1 | UD-IQ1_S と UD-IQ1_M を選べる | 公式の資料 | リリースノート |
| 変更点2 | Strix Halo の入力処理の数値 | 公式の資料 | リリースノート |
| 変更点2 | Linux の並列処理と入力処理の数値 | 公式の資料(当サイトでは未検証) | リリースノート |
| 変更点1 | ダウンロードの大きさ:UD-IQ1_S 241GB・UD-IQ1_M 258GB | 公式の資料 | リリースノート |
| 変更点1 | Hugging Face のフォルダの合計:UD-IQ1_S 約233.0GB・UD-IQ1_M 約250.4GB(リリースノートとの差の理由は未確認) | 筆者の確認(2026年11月1日) | Hugging Face(unsloth/DeepSeek-V4.1-Flash-1017-GGUF) |
| 参考 | GB10 と RX 9070 XT の比較 | 投稿者の報告 | X(ゆらカフェ氏の投稿) |
| 前のバージョンへの戻し方 | strata components rollback でエンジンを0.1.54に戻せる |
公式の資料 | — |
上の表にない筆者の数字(v0.2.9 での速度と、起動から使えるまでの約11分)は、筆者の実測です。
関連記事
参考リンク
- Strata v0.2.9 リリースノート:https://github.com/Niko1221/Strata/releases/tag/v0.2.9
- ゆらカフェ氏の投稿(X、DGX SparkとRX 9070 XTの比較):https://x.com/yuracafe_/status/2116455299204972701

